
黒木 保博
長野大学「建学の理念」のひとつに、「地域社会との密接な結びつきにより学問理論の生活化をめざす」が掲げられています。この理念から、地域で共に生きる「地域共生福祉」の研究に取り組み、実践を推進することは、私共の「使命」となっています。
大学附属の研究所設置は平成17(2005)年でした。大学が地域社会に貢献する必要性があることを、他大学よりも先取りした取り組みとなりました。また長野県内で唯一の社会福祉系大学院を開設したのが令和3(2021)年です。目の前の課題に対して何が必要なのか、改善すべきなのか、従来の考え方にとらわれることなく、先駆性、開拓性による自由な発想で作り出していくことが大切です。
大学院の設置目的には、高度専門職従事者の人材育成をめざすこともあります。教員と共に、大学院生も研究所研究員として研究活動ができるようになりました。また研究所は、大学院における研究と密接なつながりができました。大学院生は地域社会の関係組織や実務家と協働して実践的な研究に取り組んでいます。
ホームページには、研究所が取り組んできた事業を紹介しています。また『長野大学地域共生福祉論集』の発行、講演会・研修会の実施など、これまでの主な研究実績も紹介しています。
このような研究所活動の機能と役割を強化するため、従来の大学附属研究所から、「地域づくり総合センター」内の研究所として再出発しました。これまで以上に、自治体、企業及び団体等との共同研究の推進、地域の関係機関・団体との共同研究や連携事業の推進、研究会、シンポジウム等の事業にも積極的に取り組んでいきたいと思います。研究所との協働企画があれば、ぜひ研究所をご利用ご活用下さい。
研究所の紹介
本学では、大学における地域貢献の必要性が求められていることを先取りし、平成17(2005)年に「長野大学附属地域共生福祉研究所」を設置しました。研究所では、地域社会の要請に呼応するかたちで地域貢献の推進に取り組んできました。
令和3(2021)年に、県内唯一の社会福祉系大学院「総合福祉学研究科」を開設しました。これにより、地域共生福祉の研究に関する事業を一体的かつ効果的に実施するための組織として、長野大学「地域づくり総合センター」内に地域共生福祉研究所を設置し、再出発することになりました。
令和4(2022)年から、社会福祉学部・総合福祉学研究科の教員を中心に研究員として委嘱し、また学内外からも研究員・客員研究員等として委嘱・参画できる体制作りをしました。かつ大学院生を研究員に委嘱し、研究に取り組めるようになりました。
研究員一同、地域における多様で多角的視点からの「共生」概念の研究に取り組み、その研究・実践成果を地域社会に公表し、問いかける事業推進に取り組んでいます。
- 自治体、企業及び団体等との共同研究の推進
- 地域の関係機関、団体との共同研究及び連携事業の推進
- 地域共生福祉に関連する研究会、シンポジウム等の開催
- 研究誌、研究所年報等の発行
- 地域共生福祉振興のための研究、相談支援及び協働連携事業の取り組み
- その他研究所の目的を達成するために必要と認める事業
スタッフ
氏名 | 研究テーマ |
---|---|
黒木 保博 | 多文化共生とソーシャルワーク |
三本松 政之 | 社会的バルネラブルクラス支援とコミュニティに関する研究 |
小林 万洋 | 矯正施設釈放者の再犯リスク管理とウェルビーイングの保障 |
丹野 傑史 | 発達障害児者の援助要請に関わる研究 |
繁成 剛 | 障害児・者を対象とした支援機器の研究開発 |
鈴木 忠義 | 「貧困・生活困窮者の生活と社会福祉制度・政策研究」 |
鈴木 由美子 | 臨床の場におけるエンパシーと患者の暗黙知に着目した福祉援助の課題ー保健医療に関わる社会福祉士養成の観点からー |
矢野 亮 | 生存保障システムの形成と変容 |
羅 珉京 | 高齢者施設における介護職員の職場定着のための理念浸透モデル開発研究 |
新田 さやか | ケアリングコミュニティ形成の可能性と課題 |
相馬 大祐 | 障害者の生活の場に関する研究 |
飯塚 秀彦 | 地域人材等を活用した学びの充実 |
青木 雄一 | 特別支援学校(知的障害)における自閉スペクトラム症児の共同注意、 協同活動、情動調整に関する発達支援 |
宮原 均 | 憲法における財産権の保障と地域開発政策 |
平久江 薫 | マインドフルネスストレス低減法の地域社会における展開 |
主な研究実績
各年度の取り組み
- 「研究所報」発行
- 『長野大学地域共生福祉論集』発行
- 「講演会」実施、「共同研究」実施、研究成果発表、等
平成23(2011)年度~令和元(2019)年度
長野県社会福祉事業団との共同研究
「知的障害者の地域生活移行に関する地域生活実態調査・検証事業」(平成25年3月報告書)
- 共生型地域福祉実践・理論研究の推進
- 実践研究 傾聴ボランティアの持続モデルづくりに関する研究、災害復興支援研究、阿智村浪合地区における要介護認定と住民健康診査などとの関連についての研究
- 東アジア研究
- 福祉教育研究(長野県福祉(科)教員実態把握)
- 子ども未来プロジェクト研究(平成25年度より)
- 受託研究「食品トレー見えるリサイクルシステム「長野県スタイル」の構築(平成26年度)
- 地域における「死生観教育」のプログラムの実践と開発(平成27年度より)
平成21(2009)年度~平成22(2010)年度
- 共生型地域福祉理論の立論
- 実践研究
- 東アジアに関する研究
- 福祉教育研究
平成20(2008)年度
- 共生型地域福祉理論の立案
- 長野モデル(健康・長寿、低老人医療日の要因分析)に関する研究
- 循環型社会における福祉用具の開発と供給
- 市町村合併前後の福祉サービスに関する住民意識の変化
- 東アジア(中華人民共和国・台湾)における社会福祉に関する研究
- 住民参加型地域福祉の実践理論・技法の確立
平成18(2006)年度~平成19(2007)年度
- 共生型地域福祉理論の立案
- 長野モデル(健康・長寿、低老人医療日の要因分析)に関する研究
- 「福祉コミュニティづくりにおける『地域通貨』の意義と役割に関する調査研究
- 「循環型社会における福祉用具の開発と供給システム
- 市町村合併前後の福祉サービスに関する住民意識の変化
- 中華人民共和国(上海地域)における社会福祉に関する研究
- 住民参加型地域福祉の実践理論・技法の確立―周辺自治体を事例として
平成17(2005)年度
- 共生型地域福祉理論の立論
- 長野モデル(健康・長寿、低老人医療費の要因分析)に関する研究
- 科学研究費補助金事業「福祉コミュニティづくりにおける『地域通貨』の意義と役割に関する調査研究
- 「循環型社会における福祉用具の開発と供給システム
- 真田町地域生活支援センター“えん”との「合併前後の福祉サービスに関する住民意識の変化」に関する共同研究