私たちは食料や木材など自然の恵みを利用して生活していますが、一方で自然を形作る生物多様性は恐竜の絶滅を上回るような速度で失われています。世界経済の半分以上が自然に依存していると評価されていることもあり、生物多様性の減少は社会を支える基盤そのものを脅かす大きなリスクとなっています。
日本では、里山のような人が手を入れることで維持されてきた環境で生物多様性減少が顕著であるという特徴があります。水田など様々な環境において耕作放棄等の管理不足が顕在化していることが要因ですが、その背景には人口減少・少子高齢化に伴う担い手不足があり、従来通りの管理を続けることは困難です。
そこで本研究では、農地等の管理が具体的にどのようなメカニズムで生物多様性に影響を及ぼしているのかについて調べています。例えばため池では、伝統的な池干し(泥さらい)が労力不足で途絶えつつあり、それが生物多様性低下を招くことが分かっています。では池干しはどの程度の頻度で行えばよいのでしょうか?上田市のため池を対象に調査した結果、3~5年に1度程度の池干しで生物相が維持される可能性が見えてきました。上田では毎年池干しが行われている例もありますが、保全の観点からはもう少し手を抜いても良さそうだと言えそうです。こうした研究を通じ、人口減少が進む地域において、無理のない新たな形で里山生態系を維持・再生していくことに貢献したいと考えています。
静かにその姿を変えつつある里山
池干し作業の様子
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教員紹介
教授
満尾 世志人
ミツオ ヨシト
所属
共創情報科学部、環境ツーリズム学部