森林環境評価学研究室(共創情報科学部 共創情報科学科 環境コース)では、アカマツ林の再生と森林資源の新たな利用可能性を探る研究の一環として、アカマツの樹皮を活用した伝統食「松皮餅」に着目した試行的な取り組みを行いました(2026年3月24日-26日)。本取り組みは、林業事業体である合同会社 DIWの代表・工藤賢太郎さんの協力のもと実施しました。森林資源の多面的な価値を実践的に検証することを目的としています。
松皮餅づくりの試行的取り組み
アカマツの樹皮を採取する様子
本研究では、マツの内皮の採取から加工、調理までの一連の工程を実際に行い、森林資源を食として利用するプロセスを検証しました。少人数での試行的実施ではありますが、現場の知見を踏まえながら、資源利用の実態や課題を把握することを重視しています。
アカマツの内皮を加工する工程
採取したアカマツの内皮
約6時間煮たアカマツの内皮
煮たアカマツの樹皮を包丁の背で叩いて繊維をほぐす工程
松皮餅の材料となるのは、アカマツ樹皮のうち内側にある「内皮」と呼ばれる部分です。採取した内皮は、そのままでは食用に適さないため、煮る、繊維をほぐすといった工程を経て、食材として利用可能な形へと加工されます。
なぜ松皮餅なのか
アカマツの樹皮は、かつて飢饉時の食料(救荒食)として利用されてきた歴史があります。しかし、このような森林資源の「食」としての利用は、現代の森林資源利用や地域経済の議論の中では十分に評価されてきませんでした。
一方で、近年の森林は、マツ枯れ被害や野生動物の影響などにより、管理や資源利用のあり方が課題となっています。こうした中で、本研究室では、従来の木材利用とは異なる視点から、森林資源の価値を捉え直す必要があると考えています。
本研究が目指すもの
本研究では、松皮餅を対象に「森林資源を食べる」という行為がどのような価値を生み出し、それが地域や森林との関わりにどのようにつながるのかを明らかにすることを目指しています。今回の試行的取り組みは、その第一段階として実践を通じた課題の抽出と研究設計の精緻化に位置づけられます。
研究の特徴
完成した松皮餅(アカマツ樹皮の混入により、全体が赤みを帯びている)
本研究の特徴は、森林資源を建設材料としての利用に限定せず「食」という文化的側面を含めて捉える点にあります。経済・文化・森林管理を横断的に扱うことで、森林資源の新たな価値の可能性を探ります。また、本取り組みは林業事業体の協力のもとで実施されており、現場の知見と研究を結びつけた実践的な研究として位置づけられます。
今後の展開
今後は、今回の取り組みをもとに、対象地域や参加者の拡大を図るとともに、地域資源としての価値評価や教育・観光との連携可能性についても検討していく予定です。
関連リンク
教員紹介
准教授
藤田 智郁
フジタ トモフミ
所属
共創情報科学部