上田にある企業の経営者やそこで働く労働者に着目したプロジェクト研究を展開しています。
タウン誌作成プロジェクト(鈴木誠ゼミ)
鈴木誠ゼミナールでは、「地域マネジメントプロジェクト」と題して、上田にある企業の経営者やそこで働く労働者に着目したプロジェクト研究を展開しています。その一環として、ゼミ生たちは企業情報学部生の視点から上田市のタウン誌を作成する「タウン誌作成プロジェクト」に取り組んでいます。
タウン誌の名称は『てくてくうえだ』というもので、2020年1月にVol.1、2021年1月にVol.2を発行しました。
『てくてくうえだ』とは
私たちが作成するタウン誌『てくてくうえだ』とは何かを理解していただくために、以下ではそのコンセプト、目的、意義について説明していきます。
コンセプト
『てくてくうえだ』のコンセプトは、「上田で働く人を通して上田の魅力を探究する」です。第一に、上田にある企業の経営者やそこで働く労働者を通して上田の魅力を探究し、まず自分たちが上田のことをもっとよく知ります。その際、普段では顧客に届かない思いやモットーをインタビューで聞き出し、また教科書では知ることができない経営や労働の知見を得ます。第二に、インタビューによって得た知見を上田市民そして市外の人に発信し、上田の魅力をもっともっと知ってもらいます。
目的
私たちが『てくてくうえだ』を作成する目的は、「経営や労働に関するインタビューから得た知見、およびタウン誌発行という経験を自らのキャリアデザインに活かす」ことにあります。第一に、企業情報学部の鈴木誠ゼミで作成するタウン誌であることから、「経営」「労働」「キャリアデザイン」というキーワードが重要となってきます。したがって、経営と労働に関するインタビューを通して得た知見をゼミ生自らのキャリアデザインに活かすことが1つの目的となります。第二に、インタビューを通して得た知見だけでなく、タウン誌作成という経験そのものがゼミ生のキャリアデザインにもつながります。例えば、企業の広報を担当したい、出版社で働きたい、商品開発や情報発信をする仕事をしたい、市役所のシティプロモーション課で地域貢献したいなど考えているゼミ生もいます。
その場合、このタウン誌作成はゼミ生のキャリアデザインにとって有効です。第三に、社会調査の手法(ここでは主としてインタビュー法)を習得することにより、社会を見る目を養うことも目的の1つといえます。これも広い意味ではキャリアデザインです。
意義
『てくてくうえだ』の意義は、「個人レベル、企業レベル、地域レベルの3段階で役立たせる」ことにあります。第一に、まずは、個人レベルとして、先述した「目的」にあるように自らのキャリアデザインに活かすという意義が挙げられます。第二に、それだけではなく、企業レベルとして、『てくてくうえだ』を発行することによって上田経済の活性化を促すという意義が挙げられます。これら2点は長野大学企業情報学部のゼミ活動としての意義といえます。第三に、地域レベルとして、町おこしや地域の課題発見・問題解決につながるという意義も挙げられます。上田市が設置団体である長野大学のゼミ活動であるため、上田の魅力を探究・発信することによって地域の発展・活性化を促進するのは重要なことです。魅力のある街であることを探究・発信することによって、若者層をはじめ、あらゆる世代が「住みたい、住み続けたいと思う上田市」になるよう促したいと考えています。なお、第四に、ゼミ生が企業・地域の抱えている課題を発見し、問題を解決するようなアイディアの提示も行っていきます。
パソコンによる編集作業の様子
打ち合わせの様子
打ち合わせの様子
ゼミの活動内容
鈴木誠ゼミナールは2019年度から開始しました。以下では、年度ごとの活動内容を記していきます。
2019年度の活動内容
1期生は3年生11名、2年生13名の計24名でした。最初はグループワークをしたり、上田駅前や商店街を街歩きしたり、タウン誌作成というゼミ生達にとって初めての試みに試行錯誤しながら活動を進めてきました。途中からゼミ生達は4グループに分かれて活動しましたが、インタビュー先の選定についてグループで相談し、『てくてくうえだ』の趣旨やインタビューの質問項目を記した企画書を作成しました。そして、地域の方からインタビューの実施などについてご協力いただき、なんとか『てくてくうえだ』Vol.1を2020年1月に発行することができました。なお、この1年間で、『てくてくうえだ』のコンセプトが明確化されていないこと、またゼミ組織が確立されていないことなど、ゼミ自体にさまざまな課題が見つかりました。これらの課題を次年度に克服すべく、ゼミ最終日に行われた打ち上げでは熱い議論がなされました。
2020年度の活動内容
2期生は4年生11名、3年生13名、2年生16名の計40名で、鈴木誠ゼミは大所帯となりました。2020年度はゼミ生を5グループに分け、ゼミ長、副ゼミ長、グループリーダーを設け、懸案事項であったゼミ組織の確立を行いました。世の中は新型コロナウィルスの影響で大きく変わってしまいましたが、私たち鈴木誠ゼミではコロナ禍で様々な制約がありながらも『てくてくうえだ』Vol.2を発行すべく次のような活動を展開しました。
前学期のうちはステイホームが推奨されていたため、4月から7月初頭まではオンラインでグループワークを行い、上記した『てくてくうえだ』のコンセプトなどについて議論しました。同時に、インタビュー先の選定についてグループで相談し、『てくてくうえだ』の趣旨やインタビューの質問項目を記した企画書を作成しました。また、7月半ばから対面のゼミが始まり、フィールドワークも一定の範囲で許可されることになったため、3密を避けて、8月初頭までにインタビューを実施しました。さらに、夏休みを経て、後学期に入り、各グループは10月から2回目のインタビューを実施したり、写真撮影をしたり、編集作業を行ったりと、コロナに負けず精力的に活動を進めてきました。『てくてくうえだ』Vol.2は2021年1月に発行することができ、コロナ禍でも大学は機能していることを示せたと思います。なお、2020年度も課題が見えてきました。鈴木誠ゼミはゼミそのものが課題発見・問題解決の場ですので、次年度に克服していきます。
2021年度の活動
3期生は4年生12名、3年生11名、2年生14名の計37名で、2021年度もゼミ生を5グループに分けました。
前学期のうちは論文を読んで議論したり、『てくてくうえだ』のコンセプトなどについて再考したり、さらにはエプソンアヴァシス株式会社の方々とグループディスカッションをしたりとさまざまな活動を展開しました。コロナ禍であるため、上田の街をあまり「てくてく」できなかったのが残念ですが、それでもほとんどのグループは特集記事を執筆するために2回以上のインタビューを実施しました。また、ベーカリーマップのための取材にも頻繁に出かけました。逆境に負けず、フィールドワークは十分に行うことができたと思います。インタビュー後は、大変な編集作業が待っていましたが、それを経て、ゼミ生たちは『てくてくうえだ』Vol.3を2022年1月に発行しました。みなさま、是非ご覧になってください。
教員紹介
教授
鈴木 誠
スズキ マコト
所属
企業情報学部