環境ツーリズム学部松下ゼミでは、2025年2月9日から2月17日の6泊8日で、インド西ベンガル州首都のコルカタを拠点に「インドの農村で持続可能な暮らしを考える」スタディツアーが、ゼミ生有志6名の参加のもと実施されました。
このスタディツアーは、インド西ベンガル州の農村を中心にコミュニティ開発に取り組むNGOであるDRCSC(Development Research Communication and Service Centre)と松下ゼミとの連携により行われたものです。DRCSCは、1982年に設立された組織で、「貧困、飢餓、環境破壊のない持続可能な未来のために活動する」をビジョンとして掲げ、主に小規模農家や貧しいコミュニティの自立支援に取り組んでいます。
松下ゼミでは「持続可能な暮らし」をテーマに研究活動を進めています。
今回のスタディツアーは、その一環として以下の目的で行われました。
・インド西ベンガル州の都市/農村における「サステイナブルな地域の暮らし(Sustainable community life)」について、体験を通して学ぶ。
・インド西ベンガル州でコミュニティ開発をテーマに活動するNGOのDRCSCのプロジェクト実践地等を訪問し、NGOによるコミュニティ開発プロジェクトの視察体験および地域住民との交流を行う。
今回のスタディツアーは、コルカタ市内のDRCSCのオフィスにて代表のArdhendu Sekhar Chatterjeeさんの活動理念に関する講義にはじまり、DRCSCの実施するさまざまなプロジェクト実践地を訪問する形式で行われました。
まず都市部のコルカタ市内のプロジェクト実践地としては、DRCSCと連携してオーガニック商品販売のソーシャル・ビジネスを展開する組織や州政府と連携した運営されるオーガニック市場などを訪問しました。
また、農村部のプロジェクト実践地は、コルカタより約160km北のBolpurにある、DRCSCのトレーニングセンターに拠点を移して研修をおこないました。近隣のLabpur地区の農村では、グループ農園プロジェクトの見学、集落のまち歩きに加え、牛糞でつくる燃料(Cow Dung Cake)の手作り体験にも挑戦しました。集落では、オーガニック農業に取り組むグループと女性の自助グループのメンバーをはじめ、集落の子どもたちなど総勢50名以上が集まり、吟遊詩人Baulによる演奏や農村女性の踊りもあり、大歓迎を受けました。
また、近郊の乾燥地帯にあるMahamadbazar地区の農村集落では、アグロフォレストリー事業や耕作放棄地での果樹農園事業に取り組む少数民族の活動の見学、ミミズによるコンポスト化事業等に取り組む女性グループとの意見交換をおこないました。ここでも大歓迎を受け、独特なリズムの伝統的な踊りも披露していいただきました。また、集落の中を歩きながら、農村の手仕事の現場を訪問し、草の帯を束ねて作るホウキ、葉っぱを縫い合わせてつくるお皿、牛糞で磨き上げられた屋外床、カラフルなイラストで装飾された家屋の壁面などを見学でき、素朴で実用的な手仕事は見事でした。
スタディツアー期間中は、学生にとっては「サステイナビリティとは何か」について海外の現場で考える、たいへん刺激的で貴重な経験となりました。研修最終日には、ふたたびコルカタのDRCSC本部にて、DRCSCスタッフの方々と研修全体のふりかえりと今後のゼミとの連携方策についてディスカッションが行われました。
今回のスタディツアーでは、DRCSCに加え、コルカタ屈指の大学であるJadavpur大学も訪問し、学生の相互交流もおこなうことができました。松下ゼミでは、ひきつづきDRCSCとの連携にもとづき、インド西ベンガル州をフィールドにした「持続可能な暮らしを考える」研究活動を展開する予定です。
教員紹介
教授
松下 重雄
マツシタ シゲオ
所属
環境ツーリズム学部