11月の児童虐待防止推進月間にあわせて、最終週の29日(土)、まちなかキャンパスうえだの市民講座において「児童虐待:乳児遺棄事件から考える若年出産」をテーマに開催しました。
乳児遺棄事件は、決して都市部だけで発生しているのではなく、現に、私たちの暮らす地域でも起きています。井上ゼミナール3年生からは、「なぜ子ども虐待は起こるのか」「なぜ乳児遺棄事件が発生するのか」といった根本的な問いが立てられ、予防のために必要な要素について考えて研究活動をしてきました。手法としては、遺棄事件に至らなかった成功事例と死亡事例を文献から比較するとともに、アンケート調査を実施した内容を含めて、今回の講座にて話題提供を行いました。
また、石川県中央児童相談所長(女性相談支援センター所長)からは、両センターで関わった若年出産の模擬事例を紹介いただき、成功事例に共通する視点について解説していただきました。
本講座での事例報告や調査研究から共通した点は、形だけの支援では不十分であること、乳児遺棄に至る少女たちの幼少期には未解決の葛藤が存在し、知的なハンディキャップを抱えていることなどが背景として浮かび上がりました。一方で、そのような環境や状態であっても、支援者が途切れず、形だけではない共感性を持った支援者や家族の存在が大きな影響を与えていた点も、今後の対応や予防策を考える上で大切なポイントとなることが整理されたと思います。
ご参加いただきました市民の皆様、子ども虐待に関わる支援機関の皆様、ありがとうございました。


教員紹介
准教授
井上 景
イノウエ タカシ
所属
社会福祉学部、大学院 総合福祉学研究科
総合福祉学研究科発達支援学専攻