千曲川(信濃川)流域には、古くから地域の人々の暮らしや食文化と深く結びついてきた魚が多く生息しています。その代表格が、コイ科の淡水魚ウグイ(地域では「ハヤ」とも呼ばれます)です。ウグイは日本全国の河川や湖沼に広く分布する魚で、平時は全体に銀白色の控えめな姿をしていますが、春の産卵期を迎えると、鮮やかなオレンジ色と黒の帯状の模様(婚姻色)が現れるのが大きな特徴です。千曲川中流域(上田市や坂城町周辺など)では、人工の産卵場(つけば)を作り、産卵のために集まってきたウグイを網で捕らえる伝統漁法「つけば漁」が知られています。川沿いには漁期限定の「つけば小屋」が建てられ、獲れたてのウグイを塩焼きや天ぷらなどで味わう光景は、地域に春の訪れを告げる風物詩にもなっています。
この日はウグイをはじめとする淡水魚類の資源量を把握するために上小漁協さんが実施されているモニタリング調査に参加させていただきました。地域の重要な資源として長年親しまれてきた淡水魚ですが、残念ながら著しい資源量の低下が続いている状況にあります。課題解決に向けた基礎資料を得るためにも、こうした継続的なモニタリング調査が不可欠です。千曲川に設けられた5か所の定点で投網による調査を実施しましたが、採捕されたのは大部分がオイカワという魚で、ウグイを目にすることはできませんでした。参加してくれた学生さんは、漁協組合長さん達の投網技術に驚かされつつも、現場の課題やモニタリング調査の難しさも肌で感じていたようです。



教員紹介
教授
満尾 世志人
ミツオ ヨシト
所属
共創情報科学部、環境ツーリズム学部