2026年7月17~18日の大雨で土砂災害のあった栃木県足利市周辺を対象に解析領域(421.4km2)を設定し、大雨前後の光学衛星データを用いて計算したNDVI(正規化植生指数)差分値から、土砂流出推定範囲を抽出しました。その結果、図1と図2に示したように、大岩山や行道山などの山間部を中心に広域的に土砂流出範囲が確認され、周辺全体で約170箇所あることがわかりました。

図1:土砂流出範囲の推定結果(広域)

図2:土砂流出範囲の推定結果(一部拡大)
抽出結果は以下HPのGoogle My Mapsに公開しましたので、ご活用いただければ幸いです。
https://sites.google.com/view/hiromiakita/ホーム
(抽出手法についての説明)
近年は斜面崩壊や土石流といった土砂移動現象による土砂災害が広域的に発生するケースが見られ、災害後の応急復旧のためにも土砂流出の発生場所とその範囲を把握することが必要です。このような応急対応に資する情報発信を目的として、土砂流出推定範囲を抽出する手法の開発に取り組んでいます。
Sentinel-2衛星データを使用し、NDVI差分値に閾値を定めて二値化画像を作成し、斜面傾斜角により土砂流出の推定範囲を抽出します。
-使用した光学衛星データ-
Sentinel-2/MSI(分解能10m、L2A)
大雨前:2026年7月15日AM8:59(JST)撮影
大雨後:2026年7月20日AM8:59(JST)撮影
※GISアプリケーションは、ArcGIS Pro(ESRI)を使用。
解析領域は、強雨域を広域にカバーするように設定します。なお、使用した衛星データは空間分解能10mであるため、この大きさよりも小さい変化は明瞭に捉えられません。斜面崩壊や土石流などの土砂移動現象により裸地化した範囲は図3のようにNDVI差分値が大きくなり、白色であらわれます。
次にNDVI差分値に閾値を定め、土砂流出の可能性のある範囲を抽出します。閾値は0.20以上を適用し1)、土砂流出の可能性のある範囲を抽出します。加えて、国土地理院10mDEM 2) を使用して解析領域での傾斜角を整理し、既存の調査結果など 3)4) から、斜面傾斜角15度以上を土砂流出推定範囲と判断しています。

図3:NDVI差分画像(足利市周辺)
(参考文献など)
1)秋田寛己(2025): 高頻度な中分解能光学衛星データを活用した土砂流出推定範囲の抽出と公開, 砂防学会誌, 78(2), 33-38.
2)国土地理院: 基盤地図情報, https://www.gsi.go.jp/kiban/
3)国土技術政策総合研究所 (2016): 砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)解説
4)林野庁森林整備部 (2019): 土石流・流木対策指針解説等
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教員紹介
准教授
秋田 寛己
アキタ ヒロミ
所属
共創情報科学部