2026.01.06
長野大学 学長 小林 淳一
皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年のお正月はいかがでしたでしょうか。昨年を振り返ると熊が日本の至る所で出現しました。それを反映してか「今年の漢字」に熊が選ばれました。熊に襲われ亡くなった方が13人と今までで一番多くなりました。熊が好んで食べるドングリが極端に不作だったことが大きな要因だと言われていますが、人間の食べ物の味を知ってしまい、それを求めて人間に近づいて来るようにも見えます。私が秋田にいた時に利用していた街中の大きなスーパーに熊が侵入し、3日間立てこもった事件も一昨年起きています。今後は中山間地域の限界集落では、害獣とどう向き合うか大きな社会問題となっています。
さて、本学においては、今年の4月から新たな理工系学部としてスタートする共創情報科学部、環境ツーリズム学部と企業情報学部の統合による地域経営学部、学部再編はありませんが、将来の社会福祉の在り方を考えカリキュラム内容を見直しつつある社会福祉学部の3学部体制に移行します。既に入学試験が始まっています。それぞれの学部はどんな生徒が入学してくるか、良く見極めておくことが必要です。私が気になっている事柄をいくつか述べておきます。
1.共創情報科学部
地域の企業の方と話をしますと、この学部への期待の高さが伝わってきています。情報技術を核として複雑な課題を解決できる能力を持った学生に魅力を感じています。企業幹部に対しては、実課題を提示してもらいそこに学生を絡ませて課題の解決を目指すPBL教育を一緒にやらせてほしいとお願いしています。高学年にカリキュラムが配置されているので来年度は無理ですが、学年進行と共に実現できます。そのための準備を今からお願いします。
一方、大学院研究科においては、3コースから成る学部構成をそのまま大学院へもっていくには大きな課題があることが分かりました。研究科はあくまでも研究が主体で、どんな研究分野の研究科にするのかを明確にしなければなりません。人工知能AIがどうなっていくのかそこを見極めながら、企業におけるAIの活用法を研究することが考えられます。また、AIやデータサイエンスを活用し、データに基づいて意思決定を行うアプローチにより、様々な分野でのDX、GXを実現する方法論を本学から発信できれば、今までにない研究科ができるのではないでしょうか。実際に課題を抱えている企業や自治体を巻き込んで、課題解決を通し本学が目指す研究科がタイムリーで役立つものであることを実証すべきだと思います。
2.地域経営学部
地域経営学部は、実績のある環境ツーリズム学部と企業情報学部を統合し、シナジー効果を活かした新学部を目指します。地域や企業の課題に対して、社会学、経済学をベースとして新たな価値を創造する教育研究を如何に構築していくかが鍵です。既にそのためのカリキュラムはできています。過疎化が進行している地域を対象として、持続可能な社会にしていくためには、ビジネス的センスを入れていかなければなりません。活動には資金が必要です。その資金をどのように調達するのか、もちろん競争的資金を充てる場合がありますが、資金が切れると続けていくのが難しくなります。つまりはじめから自ら稼ぐ仕掛けを織り込む必要があります。今まではこの部分が必ずしもできていませんでした。稼ぐとなると対価に見合った物品やサービスの提供が必要です。真に求められていることは何なのか、より深く分析する力と課題を解決するための発想力が必要です。企業を対象として培ってきた経営的アプローチを社会課題に適応できればシナジー効果が発揮できます。社会のニーズに合った学生を輩出することに繋げていきたいと思います。
3.社会福祉学部
社会福祉分野を目指す生徒は残念ながら減少しています。その中で本学の社会福祉学部は、他大学と比べて受験者数が多く、また隔年現象も比較的少ないです。入学してくる学生のポテンシャルの高さも感じられます。これは大きな強みです。なぜ優秀な生徒が本学の社会福祉学部を目指して来るのか、学部で良く分析しその強みをさらに強化し、支持され続ける学部にしていくことが必要です。
一方、今までの社会福祉では、弱者救済が中心で、対象者が特定され救済のためのシステムも確立しています。しかし、世界的な自由競争ビジネスの進展に伴い、働き手は都会に集中し、貧富の格差が広がっています。その結果として少子高齢化、核家族化が進行しています。特に地方の中山間地域では限界集落が顕在化してきています。このような状況においては、一人で暮らす孤独老人が急増しています。かつては、両親、子供が同居していたので、子供が親の面倒を見ていましたが、今は遠く離れていて親の面倒は見られません。孤独老人をどう救うのか大きな社会問題です。そのためには、その地域がまとまり、みんなで助け合う仕組みを作っていく必要があります。また、地域をまとめるリーダーを輩出していかなければなりません。そこを社会福祉分野が中心となって担っていくべきだと考えます。既に学部の中では将来構想について検討されていますので、どんな学生を育成していくのか、そこをしっかり押え、社会福祉学部改革を進めるべきだと思います。
4.既存学部の学生への対応
環境ツーリズム学部と企業情報学部には、2年生以上の学生が在籍しています。在校生には、卒業するまで既存の教育環境を保証しなければなりません。そのことを念頭に置いて教育研究を進めてください。ただし、地域経営学部の新しい科目もありますので、単位互換をうまく使い新しい講義を取り入れることも検討してください。
長くなりましたが、教職員力を合わせて、本学が社会から選択される大学になるよう努力していきましょう。今年1年が皆様にとって良い年になることを祈念いたしまして、学長の挨拶とさせていただきます。
以上