2025.01.06
長野大学 学長 小林 淳一
皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年のお正月はいかがでしたでしょうか。昨年は元旦に能登半島地震があり、そして2日には羽田で大型旅客機と海上保安庁の飛行機が衝突炎上するという痛ましい事故がありました。今年はそのようなことがなくそれぞれ楽しまれたことと思います。私は、茨城県牛久市にある自宅で過ごしました。皆さんご存じかもしれませんが、牛久には牛久大仏がありとても有名です。今年のお正月は牛久大仏を訪れ参拝してきました。牛久大仏は1995年に建立され「青銅製仏像」で世界一高いとしてギネス世界記録に登録されております。高さは120メートルです。マンションですと30階建てぐらいでしょうか。敷地はとても広く綺麗に整備されています。大勢の人が参拝のために集まっていましたが、半分以上が外国人で東南アジア系の人達でした。家族連れが多く関東の各地から集まってきた感じでした。大仏はとにかく大きく圧巻です、機会があればぜひ訪れて下さい。
さて、大学を取り巻く環境について触れておきたいと思います。18歳人口が急激に減少していきます。大学への入学者は現在61万人ですが、2040年には進学率を考慮しても約2割減少し51万と推定されています。現在約800の大学がありますが、単純計算では160大学がなくなることになります。このような状況の中で、本学はどのようしていかなければならないか、ここに力を注いでいます。教育研究について3つの観点から話をします。
1.本学の大きなスタンスとしては、地域協働型の教育研究に軸足をしっかり載せ、教育においては、学生が自ら主体的に地域に入り込み地域課題を発見しその解決を、周りを巻き込んで実行できる能力を身につけさせる教育を強化していきたいと思います。一方、研究においては、これから理工系の新しい学部ができ、また既存学部の統合が行われますので、地域との共同研究を増やし大学が「知の拠点」として、様々な人々が大学に集まる環境を作り出したいと思います。来年には新棟に地域の人たちが集う場所ができますので、そこを積極的に活用し拠点にしたいと思います。
教育では、全学で進めているゼミナール科目群が本学において特徴的な科目だと思います。枠にはめた教育ではなく、学生を自由に泳がせるところがこの科目の大きな特徴で、主体的に学ぶ教育として他大学よりも進んだプログラムだと思います。ただこの教育は、ともすればほったらかしになりかねないので、教員の力量が問われます。学生をよく見ていて本当に必要なときだけ適切に指導することが最も大事だと思います。これはそう簡単にできるものではありません。従ってこの教育方法を他大学から見て素晴らしいと納得してもらうためには、もっともっと磨き上げていく必要があります。今年はここを皆さんと良く分析・研究をしていきたいと思います。ポイントは、テーマ設定、ゼミナールの進め方、個々の学生への対応の仕方などです。学生は課題を自ら考えることにより、課題の本質を見抜き、解決を通して解決するための道筋を明らかにできるデザイン力を身につけます。これは社会に出て様々な仕事で必ず役に立ちます。その時、本学で学んで良かったと実感することでしょう。
2.文部科学省は、3つのポリシーに基づく教育体系を大学に求めています。即ち教育マネジメントの実行です。幸い、令和8年度に開設される共創情報科学部(仮称)、地域経営学部(仮称)は、文部科学省に提出する「設置のための設置計画書」を作成中ですので、この中で教育の体系化が行われつつあります。残るは社会福祉学部です。これから必要とされる福祉社会の姿を明らかにし、新たな教育体系を同じく令和8年度スタートまでに作り上げなければなりません。社会福祉学部としては、すでに着手していますが、これからは学部長を中心に学部全体で取り組んでいただきたいと思います。また教育の質保証としては、PDCAサイクルの確立が求められています。このPDCAサイクルは、一部の人達だけで行われるものではなく、教職員全員が対象となります。このサイクルを回す具体的な仕組みを今年作り上げて行きたいと考えています。
3.教育は、学生目線での教育に変わってきています。学生が成長できたと実感できる教育が求められています。そのためには、教員から見た一方向の教育ではなく、学生の評価を最大限に取り入れた教育にしていかなければなりません。そのためには教員の皆さんがすでにやっていると思いますが、学生の講義に対する評価を細かく把握し、それを講義にフィードバックしていく仕組みをそれぞれの先生の工夫によって作り上げていく必要があります。また、講義以外でも学生に目を配り少しでも変化がある学生がいたら、親身に聞いてやりその原因を突き止める必要があります。教員のきめ細かな対応が学生生活をより楽しくしてくれますし、良い思い出として学生の心に刻まれると思います。
長くなりましたが、教職員力を合わせて大学を取り巻く厳しい環境の中で、本学が社会から選択される大学になるよう努力していきましょう。今年1年が皆様にとって良い年になることを祈念いたしまして、学長の挨拶とさせていただきます。
以上