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学長コラムNo.22
長野大学吹奏楽部定期演奏会

令和8年3月29日、上田市にある「サントミューゼ」で長野大学吹奏楽部 第31回定期演奏会「リメンバーコンサート」が開催された。今回はコンサート名のとおり20年ぶりの開催であった。かつては活動が盛んであったが、学生は毎年入れ替わるので、良い時もあれば悪い時もあるのは仕方がないが、2007年ごろ活動が休止状態になってしまったそうだ。さらに新型コロナが追い打ちをかけ完全に活動が止まってしまった。2023年に新型コロナ5類に移行したことをきっかけに、当時新入生であった学生(稲葉虎太朗さん;現部長)が吹奏楽部の復活に動きだした。地道に吹奏楽部への勧誘を続け少しずつ部員を増やしていった。どんな練習をしながら吹奏楽部を立て直していったのかは聞いてはいないが、いくつかのイベントに参加させてもらいながら部員の意識を高めていったようだ。昨年度からは、入学式にも参加し、大学歌斉唱の時の演奏を担当している。現部長の話によるとここでの演奏は、新入部員を勧誘する絶好の機会だそうだ。その結果、30名近くの部員が集まった。

約1か月前、現部長が何人かの部員を引き連れて私を訪ねてきた。そして、今回の定期演奏会についての計画を話してくれた。上田市消防団音楽隊、長野大学吹奏楽部OBOG、長野県立大学吹奏楽部の団体の他、上田短大の学生も出演予定のことであった。演奏会運営の課題については一つ一つクリアしているようだった。皆さんの表情を見ていると活気があり、吹奏楽部を盛り上げていこうとする意志が見て取れた。

いよいよ演奏会当日である。演奏者は約70名ほどであり、それぞれ準備に余念がなかった。大ホールの会場には約400名の聴衆がいてかなり賑わっている感じであった。筆者は壇上から開会の挨拶をさせていただいたが、観客席には若い人から年配者まで様々な人たちが集まっていた。さあいよいよ演奏会が始まった。最初のプログラムは長野大学吹奏楽部のメンバーによる演奏である。ピーンと張りつめた空気の中で演奏が始まった。指揮者(現部長)の巧みな指揮棒捌きのもと、演奏者全員がメロディーを奏でていく。実に見事な演奏である。もちろん指導してくれる先生はいらっしゃるが、何時、どうやって練習をしたのだろうかと疑問に思いながらも演奏の素晴らしさに感心した。

小休止の後、上田市消防団音楽隊の皆さんの演奏である。今回の参加者は一部に限られていたが、普段の練習の成果が表れていて心地よいものであった。さすがベテランぞろいといったところである。本学の吹奏楽部は、上田市消防団音楽隊が企画するイベントに参加させていただき、腕を磨く機会を提供してもらっている。言わば胸を貸していただいている存在である。次は、本学の吹奏楽部にOBOGが加わった演奏が行われた。OBOGの皆さんは、本当に吹奏楽が好きな方ばかりのようだった。年配者も見受けられたが、実に見事な演奏であった。最後には、参加者全員の演奏が行われた。会場からは音楽に合わせての手拍子があり、会場は演奏者、観客が一体となった楽しい雰囲気に包まれた。

演奏場面に合わせて部員がかわるがわる司会をしたり、演奏者をフィーチャーし、どんな人が演奏しているかを披露したりして、常に会場を飽きさせない工夫が施されていた。また、演奏団体が変わる度に大幅に演奏者の配置や楽器の位置の変更が必要であるが、実に見事に部員が自身の役割分担を理解していて、機敏に動いていた。見ていて気持ちが良かった。これにはかなり綿密にリハーサルがされていることが想像された。

アンコールを含め約2時間の演奏会であったが、会場からは大きな拍手がわき、演奏会が終了することを惜しむ声や拍手が飛び交っていた。

演奏会終了後のアンケートでは、初めて聴いた時よりも格段に上手になっていると現役生が活動を再開した頃から長野大学吹奏楽部を応援していただいている方からのコメントがあった。また、時間があれば毎年来たいとの反応もあり、良い評価であった。他には、単独の演奏はもちろんのこと、他団体との共演が良かったとの声もあった。一方OBOGの方が大勢聴きにきていたようで、吹奏楽部の同窓会のような側面もあったようだ。

現部長の稲葉さんにこの吹奏楽部の目的、意義などを聞いてみた。それによると、
長野大学吹奏楽部が目指す姿は、「地域に愛される団体」です。今回のリメンバーコンサートを見て分かる通り、こうした音楽活動を行なっていくためには、たくさんの人の協力なくしては成り立ちません。たくさんの人というのは、吹奏楽部関係者はもちろんのこと、聴きにきてくださる、または応援してくださる地域の方も含まれます。私たちは、色々な人に支えられているということを自覚しながら、音楽でその恩返しをしていくことを目標としています。

また、ここからは私が勝手に思い描くことですが、長野大学吹奏楽部は、いわゆる「雑草」の集まりです。中学、高校で、講師に怒られたりしたことがきっかけで真の力を発揮できなかったり、コンクールでうまく結果を残せなかった、もしくはあまり楽しくできなかった、という部員が一定数います。そういう部員たちが、長野大学吹奏楽部に入ってもう一度輝くことが出来れば良いと思っています。さらに言えば、楽器をもっと好きになって、大学では吹奏楽部に入るのをやめようと考えていた学生が長野大学吹奏楽部での活動を通し、一生楽器を楽しんでくれるようになればそれが一番良いです。音楽というのは、楽しむことが一番です。どんな人でも輝いてほしいという願いがあって、この吹奏楽部を運営してきました。そんな願いが、今後も続いていくと良いと思います、と語ってくれた。

本学にとっては、大きな財産であり、これからの活躍を期待する。

演奏風景(筆者撮影)