令和8年4月から新学部体制となる。本コラムでは、4月からの学部について概要を述べる。
(1)共創情報科学部
上田市と結んでいる中期計画に基づいて実施される大学改革である。本学が私立大学から公立大学へ移行することに伴い、設立者である上田市からは地元のものづくり産業への貢献が強く求められた。そのため理工系の新学部を立ち上げようとしたが、第1期中期計画(2017年~2022年)では、公立大学としての運営の基礎作りに時間が割かれ、理工系の新学部については、基本構想づくりまでは進めたもののそれ以上は進めなかった。第2期中期計画(2023年~2028年)がスタートし、ようやく本格的な新学部づくりが始まった。これからは①AI、ICT、データサイエンス技術を駆使して業務の効率化やサービス向上の実現を目指す情報系人材の育成が急務であること、②複雑な課題をデザイン思考で共創的な解決の道筋を立てられる人材が必要なこと、③爆発的な人口増加、エネルギーの大量消費などにより、地球環境が大きく変化していく中、様々なデーターをもとに将来の地球環境を予測し、あらゆる方向から生物多様性の維持を考える人材育成が重要であることを考え、これらの要素を取り入れた共創情報科学部を構想した。教学マネジメントに則り、3つのポリシー(ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシー)を明らかにし、カリキュラムと具体的な講義科目群を体系づけた。そしてこれらの教育と研究を推進できる教員を募集した。全国の大学で情報系の教員を募集しているので、かなりの苦戦を覚悟していたが、公募に応募してくれる教員を様々なネットワークを使い集めた。その結果予想よりはるかに素晴らしい教員を集めることができた。既に昨年採用した教員を中心に新学部立ち上げのための準備室を設置し、文部科学省に提出する書類を作成した。2025年6月に届出書類が受理され設置認可が下りた。すでに入学試験が実施されていて、新入生の受け入れ準備を進めている。
(2)地域経営学部
既存の環境ツーリズム学部と企業情報学部を統合した地域経営学部も同時に立ち上げた。この学部は、ともに教育研究実績がある既存学部の良いところを残して、さらにシナジー効果を高めることより地域社会に貢献できる人材の育成と地域社会の発展を目指すものである。具体的には、経済学と社会学の両方を学びながら、企業や地域の課題を設定し、課題解決を図るための計画を立て、実施し、課題解決を行うとともにそこから新たな価値を創造する一連の流れを、時間をかけ経験する。そのためのカリキュラム体系として、探求ゼミナール(1年前期、後期)、プロジェクト研究(2年前期~3年後期)、卒業研究(4年)を配置している。学生は主体的に学びながら、課題解決の難しさ、そしてそれを乗り越える経験を積む。この経験が将来社会に出たとき役に立つのである。また、学生はこの一連の経験を通して、自身の成長を実感する。この教育プログラムは、本学の大きな特徴で、共創情報科学部、社会福祉学部の教育にも取り込まれていく。ただ、課題もある。この教育の進め方については、個々の教員に任されていて、教育の質のレベルのばらつきが懸念される。教育の質保証の観点からは、教員個人の主体性に任せる部分と、守るべきルールをはっきりさせておく必要がある。統合学部を立ち上げながら、並行して教務関係の委員会で質保証のためのルール作りを進めている。
(3)社会福祉学部
社会福祉学部は、今回組織変更はないが、社会福祉のあるべき姿が今後大きく変わっていくと考えており、それへの対応が必要である。そのため学部の中で将来構想検討チームが組織され、検討が進められている。もちろん今でもそうであるが、社会福祉学部は弱者救済のための教育研究が進められており、それらを学んだ学生を輩出していくことが主な目的である。しかし、経済発展とともに顕在化してきた核家族化、地方における少子高齢化に伴う限界集落など、人々の暮らしに新たな問題が生じてきている。弱者だけではなく、すべての人が幸せと感じるWell Beingを実現することに社会福祉学部は貢献すべきと考えている。対人援助技術を磨くほか、新たな福祉の形を考える、地域コミュニティーで学ぶ、福祉課題に対する分析力を身に着けるを教育研究の柱として、カリキュラム体系、具体的な科目を検討している。また、本学は、文部科学省事業である「地域活性化人材育成事業~SPARC~」に信州大学、佐久大学とともに本学が参加しており、3大学共通で開講する連携開設科目を提供している。本学としては、社会福祉学部がこの事業に参加している。(他学部は、上述のとおり新学部として立ち上げるところなので、立ち上げが完了後参加の予定)。社会福祉学部の学生は、信州大学、佐久大学が提供する教養科目を自大学の科目選択と同じように履修し単位が取得できる。さらに大きな特徴は、文理融合の学びを実現するために、指定された科目10単位を社会福祉学部生全員が習得することである。データサイエンス科目や、理工系の科目を学ぶことにより、情報技術要素を身に着けた学生として将来活躍が期待され、本学社会福祉学部の大きな特徴となる。
以上、今年の4月からの学部体制について述べた。2035年以降急激に18歳人口が減少する。各大学はどう生き残っていくのか、今まさに正念場である。本学としては、今回の大学改革は、地域にとってなくてはならない存在とステークホルダーから感じてもらえる大学に変えていく第一歩と考えている。様々な人が本学に出入りし、地域課題を明らかにし、その解決を目指す活気ある大学にしていきたいと考えている。