本学に赴任して三年となるが、本学の学生の主体的な学び、地域への貢献活動には目を見張るものがある。その例として学長コラムNo.15でオープンキャンパスでの様子を記載した。どうしてこのような学生が本学には多いのか、大変興味深い。社会福祉学部に入る学生は困っている人を助けたい、環境ツーリズム学部では、地域の活性化に貢献したいと目的意識をはっきり持って入学してくる学生が多いのは確かなような気がする。でもそれだけで多くの学生がある目的を共有し集団で行動するだろうか。大学にとって入学した学生の特性をきちんと理解して、彼らの成長を促す教育を行うことが今後ますます重要となる。まずは、いろいろな学生に会って話を聞き、どんな特性が潜んでいるか分析することにした。
先日、MIZUMATCH(ミズマチ)サークルの代表の二人(2年生、女性)と面談した。代表の野崎さん、書記の鷲見さんは、お二人とも岐阜県郡上市出身で同じ高校とのこと。上田地域の企業に出向きいろいろ交渉するため、お洒落にデザインされた名刺を持っていた。明るくて活発に活動できる素晴らしい学生だと感じた。活動内容をまとめた立派な資料を持ってきて簡潔に説明してくれた。このサークルは、長野大学の公認サークルで、自身のイベントの企画・運営や、地域で行われるイベントへのボランティア参加など、地元上田市を拠点に幅広く活動している。創立は2019年6月とのこと。現在は、2年生21人、1年生43人の合計64人である。3年生は、秋に行われる長野大学りんどう祭(学園祭)の終了後引退する。従って現時点では1、2年生のみである。3年生後期以降は、卒論や就職、資格試験に集中すると言っていた。
創立後すぐにコロナが発生したため活動が制限されたが、菅平でのスカイランタンを2021年、2022年に行った。そして2023年4月から毎年、上田市城跡公園陸上競技場で「MATCH(まち)フェス」を開催している。2025年5月には、過去2年間の経験を踏まえ、上田の食べ物・雑貨を出店するマルシェエリアには、飲食(15出店)、雑貨(6出店)を配置した。夜には、地元ワインメーカーに来てもらい試飲会も実施した。その他のイベントとしては、上田市の魅力を体験する「ワークショップ」、スタンプラリーでスタンプを組み合わせると上田を象徴する絵がでてくる企画や、皆さんから思い出の写真を提供してもらいそれを貼り合わせて上田城の門を再現するモザイクアートを展示する「わくわくイベント」、多数のランタンで夜空を照らす「LEDスカイランタン」、上田で活躍するグループの活動を紹介する「パフォーマンス」等を企画実行している。
この様な大規模イベントがどのようにして実現しているかを伺った。企画は、サークルの中でアイデアを出し、議論しながら決めていっているようだ。各イベントが楽しいものになるように考えられており、しっかりした検討ができている。一番の関心事は、イベントを運営する資金をどのように集めているかである。意外にあっさりと答えてくれた。たくさんのスポンサー企業が存在し、そこから資金を得ているということだ。それは、普段から様々な他のイベントにボランティアとして参加していて、そのイベント主催会社・団体から感謝され、信頼関係ができているからお返しの意味を込めて資金を提供してくれるということだ。会計報告も見せていただいた。収入、支出がきちんと整理され報告書としてまとまっている。収支は若干の黒字であった。来場者は、天候や行事の重なりの影響があって年毎違うが、3500人~5000人である。これだけの来場者を集めるのは大変なことである。これも普段からのネットワークの力を借りで集めているようだ。
最後に、このようなサークルを運営する苦労を聞いてみた。メンバーはそれぞれの思いがあり、サークルへの関心度が違うので、様々なところで壁にぶち当たると言っていた。でもそれを乗り越えて実現しているのである。また、先輩の適切な援助が凄く大きいとの事である。横の関係だけではなく、縦の関係も重要である。私からは、大学の授業だけでは学ぶことができない、素晴らしい体験を通して確実に成長しており、社会に出た時必要となる資質をすでに備えていることの重要さ伝えた。学長と話ができて楽しかったと言って帰っていった。ちなみに代表の野崎さんは高校生の時、本学のオープンキャンパスに参加して先輩たちの活躍ぶりに感動し、私もああなりたいと思い本学に入学したと言っていた。