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学長コラムNo.5 学生の主体的な学び

世の中は、政治情勢、地球環境問題、ビジネスモデルの多様化、様々な技術の進展によって、加速度的に変化している。若者の皆さんはそのような環境の中で生きていかなければならない。大変な時代である。しかし、考えようによっては、想像力を発揮し自ら実行することで、時代に引っ張られるのではなく、時代を引っ張っていくことが容易に出来るチャンスであるともいえる。

そのような背景のもと、大学教育も知識を受け身的に学ぶ教育から、知識を取得するとともに、自らが主体的に学ぶ能動的な教育に大きく舵が切られている。その意味するところは、学生自身が学びを通して成長を実感できる教育にしなければならないということである。上田女子短期大学 特別招聘教授 須永剛司先生によると、「やって・みて・わかる」教育こそが、学生の主体性を引き出し、成長が実感できる最も大事な教育だと述べている。それは、教育環境を整えて学生をその中に閉じ込める教育から、まずはやらせてみて、学生が体験を通して学ぶ教育である。また学生をひとくくりにするのではなく、それぞれ個々の学生が学ぶことを意識した教育である。

本学におけるゼミ教育は、主体的に学ぶ教育として教育成果を上げていると考えている。その要因は何か私なりに分析を進めている。本学のゼミは地域密着型教育であり、先生によってゼミのスタイルが違うので一概には言えないが、様々な地域に学生を送り出し、地域の人たちと一緒になって地域課題解決を目指す教育である。ただこれだけでは何が特徴かは分からない。何人かの先生によると、地域に学生を送り出す際、事前説明として地域の様子を学生に教えようとするがそこにはあまり興味は示さないという。むしろ何も話さず地域に放り出すぐらいの方が良いとのことである。つまりその方が、学生が自ら地域に入り真剣に地域課題を探すのである。その中から「これだ!」と思う地域課題を探し当て、自らの意思で課題解決に向け動き出す。興味を持つことが主体的に学ぶ最も大切なことであり、興味を持ち実践する方法をとっているのである。
また別な視点としては、今の学生は横のつながりを重視するという。そのためにチーム内においては安全で安心な環境でなければならない。つまり全く知らない状態では話し合いはうまく進まない。お互いの気心が分かった状態で初めて活発な議論が展開できるのである。ゼミはチームで行動するので、チームリーダーが現れチームメンバーと話し合い、それぞれ納得する形で動き出す。当然そこには地域の人たちや企業の人たちも絡んできて多様な議論のもと、幅広い展開が繰り広げられる。本学のゼミは結果として学生同士や地域の人たちとのコミュニケーションに配慮しているのである。
一方、本学の学生は前向きに取り組む学生が多い。社会福祉学部や環境ツーリズム学部という学部の性格が影響しているかも知れない。福祉やまちづくりに貢献したいと目的を持って入学してくる学生が多く、学生の質として主体的に学ぶ教育が行える環境にあることも大きな要因ではないかと考える。

本コラムでは、本学の主体的に学ぶ教育を教育環境の観点から考えてみた。

上田市西塩田からみた浅間山の朝焼け