
7月31日、社会福祉学部3年の北郷友見子さんが考案した「骨伝導を利用した聴音装置」が6月に実用新案として登録されたという話を聞いて、直接ご本人から話を伺った。主に難聴の方がつける装置で、骨伝導を利用している。骨伝導聴音装置は、空気と外耳道を介して音を送信するのではなく、振動を内耳の骨に直接送信し、これらの小さな骨が振動すると、音として解釈される信号が脳に送信される仕組みである。
そもそもなぜこのような装置の研究開発を始めたのか、はじめに伺った。北郷さんは茨城県北部のご出身で小学生の時に理科教室に通ったとのこと。この地には世界的に有名な企業の工場がたくさん存在し、そこをリタイアした技術者が理科教室の先生として教えていた。彼らは様々な経験があり小学生にとって面白そうな研究テーマをたくさん持っている。その中に骨伝導を利用した聴音装置を研究するテーマがあった。面白そうだなと思い飛びついたそうである。北郷さんの身近な方がやや難聴であり、何か手助けできないかと思っていたところでもあった。最初は何もわからず教えてもらいながら骨伝導と聴音装置の仕組みを理解していった。この研究は中学、高校になっても続けた。骨伝導聴音装置は耳の後ろに付け振動を感知するのが普通であったが、実際に聞いて試してみると、そこよりは耳たぶのほうがはるかに聞きやすいことを発見した。そこで耳たぶに着ける装置の開発始めた。たくさんの文献も読んだそうである。もともと本を読むことは好きであった。本学に入学しても開発を続け、ついに「骨伝導を利用した聴音装置」として実用新案を申請し登録されたということである。
北郷さんは、今までの経過を淡々と説明してくれたが、その中には絶対ものにするという強い意志が感じられた。本当によくやったと感心した。これからはご自分で考案されたものが社会実装されるかである。つまりこの装置をどこかのメーカーが引き取り商品としてまとめ発売してくれるかである。ここはご自身だけの力ではどうしようもなく、いろいろな人の力とネットワークを活用して実現に結び付けていくしかない。本学の地域づくり総合センターの庄村センター長もサポートしてくれている。焦らず気長に進めてほしい。将来は社会福祉士の国家資格を取り、福祉関係の職に就き社会の役に立つ仕事をしたいと、目を輝かせていた。