働く環境を知ることで地域の魅力発見につながる
担当教員

働く環境を知ることで地域の魅力発見につながる
企業における働き方、いわゆる人材マネジメントの面で、経営者側からも労働者側からも「働くこと」を考える。これが私の研究テーマです。地域にどのような働き方があるのかを模索することは、私たちの「働くこと」に対する想像力をより豊かにし、地域における生活の魅力を発見することにもつながります。私のゼミの学生たちも、こうした学びを踏まえた研究に取り組んでいます。自分たちの興味のあるテーマを立てて、地域のさまざまな企業や団体にアプローチし、インタビュー調査を実施します。その結果を、これまでに学んだ内容をもとに分析し、1冊の報告書にまとめて発行、調査対象企業にもフィードバックしています。企業が独自に設定する働き方のルールや制度を調査し、自分たちの手で形にすることは、それぞれが考える「働き方の意義」を再確認するきっかけになるのではないでしょうか。

研究内容

生きた現場に触れて 「働くこと」を理解する
企業の方の意見を直接うかがうことは、学生にとって大事な経験です。その企業の情報を事前に集め、興味をもったことや疑問に思ったことを質問すると、企業側は「学生たちは当社のここに興味があるのか」と知ることになります。一方学生は、企業側の考えを聞き、現場を見せてもらうことで、どんな工夫があるのか、働いている人たちが何を考えて自分のキャリアを作っているのかなど、「働くこと」を実感し理解することができます。この相互のプロセスは、やがて社会へ出ていく学生にとって大変有意義であり、大きな成長にもなるはずです。
学生の声

働く人の生の声を聞くことで
実態がよりリアルに感じられた
私は松永ゼミで、「若者の労働」をテーマに研究しました。年功序列や少子化などの課題がある日本で、若い世代が最前線で活躍する企業に興味を抱き、(株)R&Cながの青果に取材を依頼しました。社員の方々にお話をうかがうと、会社全体の社風とミスを最小限に抑える工夫や若者が挑戦しやすい環境が作られ、さらに社員全体のレベルアップができる仕組みも取り入れられていることがわかりました。このように実際の現場で働いている方の声を直接聞けることはとても刺激的であり、多くの学びや気づきを得られました。働くこと自体が未知の世界である私たちですが、将来企業に勤め、管理職や経営を担う役職になった際には、ゼミの研究で学んだ職場環境の工夫等を役立てたいと考えています。
地域からのメッセージ

地元企業との連携で多くを学び、
将来は地域で活躍する人に
長野大学との連携は地元企業として大きな刺激となります。学生ならではの視点で多様な疑問を投げかけてもらうことで、新たな発見が得られることもあります。地域の企業の特色や強みを知ることで将来のキャリア形成に役立て、地域で活躍する人材へと成長していただきたいと思います。
顧客にしてほしい思いをもとにした企業や地域のイノベーションを

「企業のイノベーションを生み出す論理」について研究しています。日本の多くの企業が成熟期にあるなかで、品質・機能・価格の視点では相手に十分に響かず、「顧客にしてほしい思い」をもとにした経営が重要と考え、「思いの経営学」を構築しました。これをもとに、ゼミでは「企業イノベーションプロジェクト」を進めています。学生たちがイノベーションを生み出す論理を組み立て、成熟期にある企業や地域の食品・ホテル・スーパーマーケット・情報系企業のコンセプトについて提起し、新商品やサービスを企画・立案し商品化をめざします。また、産学官協働の実践的な研究と理論的・事例的な研究を同時に進め、企業の今後の経営やイノベーションについても考えています。
タウン誌作成を通じ、
経営・労働に関する研究を展開

「地域マネジメントプロジェクト」と題し、上田市にある企業の経営者や労働者に着目した研究を展開しています。そのひとつが、学生が主役となって情報誌を作成する「タウン誌作成プロジェクト」です。企画立案・企画書作成から、取材交渉・インタビュー・写真撮影・記事執筆・原稿校正までを行い、経営と労働に関する質的調査研究の手法を習得します。また、グループワークでメンバー間のコミュニケーションを図るほか、多様な業務を分担することで課題発見・問題解決能力を育成します。取材活動から得た知見や経験を学生自らのキャリアデザインに生かしていくだけでなく、上田市の経済活性化を促し、町おこしや地域の課題発見・問題解決にもつなげていきます。
地域の芸術文化を生かし
次世代に伝える

地域の芸術文化の研究・教育・振興をテーマに、ゼミでは取材班・デザイン班などに分かれて作業を行います。1年次の「課題発見ゼミ」では、パッケージデザインに取り組んでいます。長野県の伝統食で、お土産としても人気の蕎麦やおやき、干し柿などは、パッケージの色や模様でその風味や食材、由来まで伝えることができます。そこから日本の食文化と、その価値を表現するためのデザインを考えます。2年次以降の「プロジェクト研究」では、伝統的工芸品などの研究・振興・活用に取り組みます。文化財について学んだり、地域の芸術文化を楽しく学べる教材を作り小中学校で授業を行ったりするほか、新しい技術で手で触れられる文化財の模型作りにも取り組んでいます。