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受験生の方へ

鈴木忠義 教授

社会福祉学部
鈴木 忠義 教授
担当講義:社会保障Ⅰ・Ⅱ、
低所得者に対する支援と生活保護制度 他


自分事として貧困に向き合う 社会のあり方を考える

生活困窮者の役に立ちたいという想い

 小学生のときに母子家庭の餓死事件のニュースに接し、豊かな社会の日本にも貧困問題があることに衝撃を受けました。この事件をきっかけに「貧困」を他人事ではないと感じるようになり、将来は生活で困っている人の役に立ちたいと思い、大学では社会福祉学を専攻しました。
 大学時代に社会福祉を学んでいくなかで、貧困問題を生み出す社会のあり方に問題意識を持つようになり、ホームレスの方々への訪問活動や聞き取り調査などに参加しました。当事者との関わりを通して、生きづらさを抱える人々の思いに触れることができました。

見えない「貧困」を理解する

 私の研究は「日本における『貧困』の実態と対応する制度のあり方」をテーマとしています。「貧困」は「恥ずかしいこと」とか「自己責任」という考えを持つ人が少なくないと思いますが、全ての人にとって他人事ではない社会問題として理解することが重要ではないかと考えています。
 長野県はホームレスの数は多くありませんが、見えない貧困問題は存在しています。私は上田市の生活困窮者支援団体の生活相談ケース記録の分析に関わりましたが、住む家はあるけれども心身の不調などで職を失ったり、多重債務に陥るなど複合的な生活課題を抱えるケースが見られました。2015年から生活困窮者自立支援法が施行され、長野県内の自治体の相談窓口にはこうした生活に困窮する人からの相談が多数寄せられています。私の研究では、目に見えにくい「貧困」を可視化するとともに、よりよい対策を検討していくことを通して、こうした問題の解決に貢献していきたいと考えています。

一人にしないために居場所を地域につくる

 貧困問題の解決をめざすうえで、誰でも参加できる「居場所」が重要な役割を果たすと考えています。そこで、ゼミでは「子どもの貧困と居場所づくり」をテーマにしています。「子どもの貧困」に関する文献や資料を読んでディスカッションをするとともに、上田市や長野市での子どもの学習支援や子ども食堂など「居場所づくり」の活動に参加しています。活動では、学生がスタッフの一員として子どもたちの自主学習のサポートや遊び相手などを行っており、地域と協働した環境整備の実現につながっています。また、これらの取り組みを踏まえてゼミ主催の成果発表会を企画し、学生の立場から「子どもの貧困」の現状について多くの人々に伝える機会を設けています。
 「貧困」は身近に存在していますが、多くの人は気付かないでいるのが現状です。こうした見えない「貧困」の存在に一人でも多くの人が気付き、自分に何ができるかをみんなで考えていくことが求められています。

鈴木忠義教授からのメッセージ

 福祉のさまざまな問題に関心を持ち、そして自分自身に何ができるかを考えることが大切です。福祉を利用する人々の暮らしに対する想像力を養うとともに、「他人事ではない」という意識を持ってほしいと思います。自分や家族、親族が当事者となり、福祉制度を利用するときに、どのような制度であれば利用しやすいのか、どのような社会であれば暮らしやすいのかを考えていきましょう。