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受験生の方へ

新田さやか 准教授

社会福祉学部
新田さやか 准教授
担当科目:地域福祉と包括的支援体制 他


人権思想に根差した多文化共生社会の形成

日韓のハンセン病研究を通して地域福祉の実践を考える

 大きく2つのテ-マで研究に取り組んでいます。1つ目は、「日本と韓国におけるハンセン病回復者を包摂する社会的基盤形成に関する研究」で、日本と韓国のハンセン病政策について20年ほど研究を続けています。隔離政策に対する問題意識は、学生時代に訪問した国立ハンセン病療養所の入所者の方たちとの関わリから生まれました。日本と韓国のいずれにおいても回復者の方たちは高齢化し、自らの体験やハンセン病政策の問題について語ることのできる人は限られてきています。回復者やその家族の声に耳を傾ける「聴き手」を社会で育てていくことは、この問題への共感的理解の形成につながります。研究を続け、人権思想に根差した地域福祉の実践的アプローチにつなげたいと考えています。

移住女性が主体的に生きられる社会づくりから多文化共生を探る

 2つ目は、「結婚移住女性のエンパワメントに関する研究」です。
 私は2009年以降、韓国の外国人移住生活者をめぐる地域での社会福祉政策研究に携わってきました。韓国では主として、結婚移住女性と韓国人男性からなる多文化家族に対する支援政策、外国人労働者に対する雇用許可制度など、移住者への政策的な取り組みは日本よりも先行しています。
 調査研究の過程で、民間団体によって人権問題として移住者の生活支援が進められていることや、そうした実践を経て地域において問題の共有化が図られ、政策の不備を改善するべくソーシャルアクションがなされたリ、結婚移住女性のエンパワメントが実践されたりする多様なアプローチが、地域を基盤に展開されていることがわかりました。とくに、結婚移住女性によるコミュ二ティ形成の可能性は示唆に富んでいます。言語、文化、生活習慣などが異なる環境で生活する結婚移住女性は、夫からの暴力や夫家族との関係の困難さ、出身国に対する偏見などによって家族や地域社会から孤立し、パワーレスな状態に陥ることがあります。その背景には、男性中心の社会構造が存在し続けること、国籍や性別に対する差別や排除といった課題があります。
 多文化化する今日の社会において、移住女性たちが自ら活動し、主体的に生きられる場をどうつくるか、地域での活動の調査を通して考えたいと思っています。2つの研究は、病、国籍、性別といった、「生」に関わる社会的排除のメカ二ズムを明らかにし、人権思想に根差した多文化共生社会の形成に寄与する意義をもつものです。

新田さやか准教授からのメッセージ

 人は人との出会いによって変わっていきます。だからこそ、自分から様々な場所に足を運び、そこで営まれる生活を知り、人々が生きてきた歴史に学んでほしいです。私は学生時代にハンセン病療養所をはじめ、福祉施設、東京の山谷地区などに赴きました。ハンセン病回復者や路上生活者の生の現実は、私にとって、社会が生み出す排除の問題を考えるきっかけとなり、その問題意識は現在にいたるまで続いています。コロナ禍で社会の周縁におかれる人たちが今をどのように生きているのか、人ひとリの声に耳を傾け、考え続けてほしいと思います。
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