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「デジタルコスメプロジェクト」チームが開発したソフトウェアで生成した人の顔の3DCG
最近では、医療、産業の様々な分野においてコンピュータグラフィックス(CG)による画像再現技術が必要とされるようになってきました。こういった分野ではゲームや映画等の分野とは異なり高精度な画像生成が要求されます。
我々のプロジェクトでは、人の肌を対象にしてCGによる画像再現を目指しています。人の肌の画像再現は、医療分野や化粧品などの産業面でも必要とされています。たとえば、最近の化粧品の製品開発やそれらを顧客に示すシミュレーション画像生成といった分野ではCGによる肌の画像再現は特に期待されています。
人の肌の色や質感を重要視する分野では、肌の色再現だけではなく反射特性(質感)も再現する必要があります。特に、人間の視覚は肌の色の違いを敏感に感じ取ることができるため、肌の3DCGは、その再現精度が極めて重要となります。
そこで我々は様々な計測器やカメラを使用して実際に人の肌と化粧品を計測し、肌や化粧品について調べています。
この調べた結果から、コンピュータを使った化粧支援システム、たとえば「現在の肌の状況などから、自分に似合う化粧品」を提案できるソフトウェアを開発します。
そういった中で現在2つの具体的な目標を持って研究を進めています。
1.肌や化粧の3DCG再現
計測したデータに基づいて実際に存在する人を3DCGで画像再現します。
2.肌の状態や化粧品の効果を調べる
計測器を使って肌や化粧品について様々なことを調べます。現在、学生たちは以下のようなことを中心に化粧品や肌について調べています。
(1) 日焼けでどのくらい肌の色は変わるのだろうか?
(2) メーカや製品でどれくらい肌の色が変わるのだろうか?
(3) 時間がたつと化粧した肌の色が変わってくるけど、どのように、どのくらい変化するのだろうか?
(4) 人の肌の白さを数値で比較できないだろうか?
(5) 健康状態で変わる肌の状態はどのようなものだろうか?(顔色が悪いとか)
化粧による肌の色や状態の変化を調べる実験
実際に様々な化粧品を使用して実験を行っている学生
男子学生も被験者として実験に協力しています。この男子学生もプロジェクトメンバーの一人です。
計測器を使用して肌の状態を調べている様子
肌を計測しながら計測データをコンピュータで処理しています。
コンピュータ上で計測した肌の色を比較している様子
一通り計測が終了したら化粧品のデータをコンピュータで分析します.
レーザー光を用いた顔の形状計測
ここでは顔の形状をレーザ光で計測しています。長野市にある株式会社協同測量社さんの協力で、レーザレンジファインダと呼ばれる非接触で形状計測できる計測器を貸していただきました。この装置では非接触でレーザ光を一瞬当てるだけで顔の3次元形状が計測できます。
計測した形状は、企業情報学部で開発中の3DCGソフトウェアに入力すればその場で3DCGにすることできます。つまり、自分の顔がそのまま3DCGになります。
顔の形状計測実験の準備をしている様子です。計測担当の学生が入念な準備をしています。被験者の学生は少し緊張しています。
顔の形状計測をしている様子です。顔に一瞬レーザ光を当てるだけで顔の形が計測できます。
こちらでは精密計測のために顔が動かないように台を使って顔を固定して顔の形状計測をしています。
顔の計測結果は、このようにすぐにCGになって出てきます。
女性の顔を3DCGで再現していますが、肌のキメの細かさや化粧された肌の状態も徐々に再現できるようになってきています。
女性の顔の3DCG(女性特有の肌のキメの細かさや化粧の状態等が再現できるようになってきています.)
計測した顔の形状や反射特性から再現した女性の顔のCG。肌の色なども実際に計測したデータを用いています。CG生成には本学で開発中の3DCGソフトウェアを使用しています。
計測した顔の形状や反射特性から再現した女性の顔のCG。別の角度から見たもの(CGなので自由な視点から見ることができます)。
視点を変えて再現した人の顔の3DCG
視点を変えて再現した人の顔の3DCG
実在の男性を3DCGで再現した結果.拡大表示すると男性特有の肌のキメの粗さ,小じわ,毛穴等も含めて精密に3DCGで再現されていることが分かります.
人間の顔の3DCG(正面)
人間の顔の3DCG(上から見下ろした視点から)
人間の顔の3DCG(左側)
人間の顔の3DCG(右側)
研究成果を学会で報告する企業情報学部学生(計測自動制御学会 中部支部シンポジウムにて)。ここでは、独自に開発した肌の再現用3DCGソフトウェアのデモンストレーションを行っている。