子どもから高齢者まで幅広く学べる地域資料のデジタルアーカイブ化
市民の多くがインターネットを日常的に利用するようになり、学校においてもGIGAスクール環境で児童生徒が1人1台タブレットで学習できる環境が整ってきました。そのような社会状況下で児童生徒が地域を学習するのに不可欠な地元(学区)の情報源がネット上に極めて少ない問題が顕在化してきました。学校の教員が地域学習に取り組めるようにするために、児童生徒が地域の情報資源にアクセスできるように、さらには年代を超えて地域の人々が地元のことをよく知ることができるようにするための「地域資料デジタルアーカイブ」の構築が求められています。長野大学では、信州上田学事業の一環でデジタルアーカイブ事業者でもあるKAN-PRO、塩尻地区の地域の方々との域学連携により「地域資料デジタルアーカイブ化」の取り組みを進めています。
企業情報学部の前川道博ゼミでは、学生がデジタルアーカイブの構築作業に関わり、デジタルアーカイブサイト『塩尻小デジタル資料館』の構築を進めています。
地元の方による道具類の解説をビデオ収録
資料館の道具類を一つ一つ撮影する様子
種紙(たねがみ)
消毒用ポンプ
写真やテキストのみでは一体どのような道具だったのかはわかりません。従来、展示物には簡略なラベルが付されているだけで、その情報源は何もありませんでした。資料目録は実物との照合がされておらず、品名を見ても実物がどれかはさっぱりわからない状態でした。
『塩尻小デジタル資料館』は郷土資料館に収蔵されている地域資料(道具・文書)をデジタル化して誰もがネット上で任意に検索・閲覧できる「デジタル資料館」とするものです。昔の生活や道具をよく知る地元の方々の御協力を得て、オーラルに(口述して)記録する「無形文化のデジタル伝承」も併せて行っています。
「消毒用ポンプ」は次の解説で種明かししました。蚕室(蚕を飼う部屋)の消毒をする道具だとは想像すらできませんね。
写真と目録を突合し不明の道具を検証
学生が聴き手となって解説をわかりやすくする支援