○長野大学研究倫理規程
平成29年4月1日
程第58号
(目的)
第1条 この規程は、長野大学(以下「本学」という。)における学術研究の信頼性と公正性を確保し、研究者が研究を遂行する上で遵守すべき規準を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この規程で「研究者」とは、本学の教員及び本学で研究活動に従事する学生並びに本学で研究活動を行う受託研究員、客員研究員その他研究に関わる者をいうものとする。
2 この規程で、「研究」とは、研究計画の立案、計画の実施、成果の発表・評価にいたる全ての過程における行為、決定及びそれに付随する全ての事項をいうものとする。
3 この規程で「発表」とは、自己の研究に係る新たな知見・発見又は専門的知見を公表する全ての行為を含むものとする。
4 この規程で「研究費」とは、競争的研究資金を始めとする学外から獲得した研究費及び本学が研究者等に交付する研究費をいうものとする。
5 この規程で「不正使用」とは、架空請求に係る業者への預け金、実体を伴わない旅費、給与又は謝金の請求等、虚偽の書類によって法令その他本学の規則等に反する研究費の使用をいうものとする。
6 この規程で「不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる次に掲げる行為をいうものとする。
(1) 研究活動における特定不正行為
捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること。
(2) その他の研究活動における不正行為
二重投稿 他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿すること。
不適切なオーサーシップ 論文著作者が適正に公表されないこと。
研究成果の漏えい 非公開の他人の研究成果、文章又は知的財産を、当該研究者等の知ることなく外部に公表又は漏らすこと。
(3) 前項に掲げる行為
(4) 前各号に掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害
(研究者及び研究指導者の責務)
第3条 研究者は、本学の使命実現に向け、各人の自覚に基づいた高い倫理的規範のもとに、良心と信念に従い誠実に行動しなければならない。
2 研究者は、生命の尊厳と基本的人権を尊重しなければならない。
3 研究者は、国内の法令及び告示等並びに学内諸規則等(以下「関係法令等」という。のほか、国際的に認められた規範、規約、条約等を遵守しなければならない。
4 研究者は、自己研鑽に努め、常にその能力を最高水準に保つようにしなければならない。
5 研究者は、専門的知識を過信することなく、自らが関与する研究が一般社会や人々に与える影響を謙虚に自覚し、常に自らの行動や発言を律するように努めなければならない。
6 研究者は、異なる学問分野や他の国、地域、組織等の研究活動に係る固有の文化や価値観等の理解に努め、それらを尊重しなければならない。
7 研究者は、相互に独立した対等の研究者として互いの学問的立場を尊重しなければならない。また、教員は、学生が研究活動に加わるときは、学生が不利益を被らないように十分に配慮しなければならない。
8 研究指導者は、研究グループ内における研究データ・資料等の適切な取扱いと管理・保存について責任をもって行うとともに、研究グループ内の研究者が各自の能力を十分に発揮できるような研究環境の整備に努め、各研究者の貢献度の客観的評価を通じて公正なグループ運営を行うものとする。また、グループ内の研究者全員に本研究倫理規程の内容を周知徹底し、規程を逸脱することのないように最善の配慮を払わなければならない。
(研究計画の立案・実施)
第4条 研究者は、研究計画の立案・提案に当たっては、過去に行われた研究業績の調査・把握に努め、誠実に自己のアイディアや手法の独創性・新規性を確認しなければならない。
2 研究者は、他者の独創性・新規性を尊重しなければならない。
3 研究者は、研究途中であっても当該研究によって社会や人類に好ましくない影響を及ぼす可能性があると判断された場合は、その研究を続行するか否かについて、慎重に検討しなければならない。
(研究のための情報、データ等の収集)
第5条 研究者は、科学的かつ一般的に妥当な方法、手段で研究のための資料、情報、データ等を収集しなければならない。
2 研究者が、研究のために、資料、情報、データ等を収集する場合は、その目的に適う必要な範囲において収集するよう努めなければならない。
(インフォームド・コンセント)
第6条 研究者が、人の行動、環境、心身等に関する個人の情報、データ等の提供を受けて研究を行う場合は、提供者に対してその目的、収集方法等をわかりやすく説明し、提供者の明確な同意を得なければならない。
2 組織・団体等から当該組織・団体等に関する資料、情報、データ等の提供を受ける場合も前項に準ずるものとする。
(環境・安全への配慮と生命倫理の尊重)
第7条 研究者は、研究実施上、環境・安全に対して有害となる可能性のあるものを取り扱う場合には、関連する法令、本学規則、関連省庁や学会等の指針等を遵守し、特に、ヒトや動物を対象とした研究においては生命倫理を最大限に尊重しなければならない。
(守秘義務の遵守と個人情報の保護)
第8条 研究者は、協力研究契約や知的財産権に係るものに関しては、所定の守秘義務を遵守するとともに、他の研究者の未発表研究成果、特に論文や研究費の審査の過程で知り得たものについては、守秘義務を厳密に遵守しなければならない。
2 研究者は、関係法令等に定めるもののほか、プライバシー保護の重要性に鑑み、研究のために収集した資料、情報、データ等で、個人を特定できるものは、これを他に漏らしてはならない。
(差別やハラスメントの排除)
第9条 研究者は、研究活動のあらゆる局面において、各個人の人格と自由を尊重し、属性や思想信条による差別を行わない。また、研究上の優位な立場や権限を利用して、その指示・指導等を受けるものに不利益を与えるような言動をとらない。
(利益相反の適切なマネジメント)
第10条 研究者は、自らの研究行動に当たって、利益相反や責務相反の発生に十分な注意を払い、係る状況が発生する場合には、情報公開を行って適切なマネジメントを行うものとする。
(情報・データ等の利用及び管理)
第11条 研究者は、研究のために収集した資料、情報、データ等を適切に利用、保管し、事後の検証・追試が行えるよう十分な期間(実験ノートなど文書や電子データ、画像などは、原則、論文発表後10年間、実験試料や標本などについては5年間)保存しなければならない。ただし、個人に関する情報・データについては、協力者との合意を得た期間とし、関係法令等に保存期間の定めがある場合は、それに従うものとする。なお、求めがあった場合は、必ず開示しなければならない。
(機器、薬品・材料等の安全管理)
第12条 研究者が、研究実験において研究装置・機器等及び薬品・材料等を用いるときは、関係法令等を遵守し、その安全管理に努めなければならない。
2 研究者は、研究の過程で生じた残渣物、使用済みの薬品・材料等について、責任をもってその処理をしなければならない。
(研究活動における不正行為の防止)
第13条 研究活動における不正行為は、本学及び本学の研究者に対する社会の信頼性を喪失する行為であることを研究者は自覚し、不正行為を行わないことはもとより、不正行為の発生を未然に防止するよう研究・教育環境の整備に努めなければならない。
(研究成果発表の規準)
第14条 研究者は、研究成果を広く社会に還元するため、原則として公表しなければならない。ただし、知的財産権等の取得及びその他合理的理由のために公表に制約のある場合は、その合理的期間内において公表しないことができる。
2 研究成果は、学問的誠実性と論理的忠実性によって導かれた新たな知見、発見であることに鑑み、研究者は、他者の成果を自己の成果として発表してはならない。
3 研究発表における不適切な引用、引用の不備、誇大な表現、誤解をさせる表現等は、不正行為とみなされるおそれがあり、研究者は、適切な引用、誤解のない完全な引用、真摯な表現をしなければならない。
(オーサーシップの規準)
第15条 研究者は、研究成果の創意性に十分な貢献をし、研究活動に実質的な関与をしたと認められる場合に、適切なオーサーシップを認められる。
(研究費の取扱規準)
第16条 研究者は、研究費の源泉が学生納付金、国・地方公共団体等からの補助金や財団・企業等からの助成金・寄附金によって賄われていることを常に留意し、研究費の適正な使用・管理に努めるとともに、その負託に応えなければならない。
2 研究者は、交付された研究費を当該研究に必要な経費のみに使用しなければならない。
3 研究者は、研究費の使用に当たっては、関係法令等及び当該研究費の使用規定等を遵守しなければならない。
4 研究者は、証拠書類等を適切に管理し、実績報告においては、研究遂行の真実を明瞭に記載しなければならない。
(他者の業績評価)
第17条 研究者が、レフリー、論文査読、審査委員等の委嘱を受けて、他者の研究業績の評価に関わるときは、被評価者に対して予断を持つことなく、評価基準、審査要項等に従い、自己の信念に基づき評価しなければならない。
2 研究者は、他者の業績評価に関わり知り得た情報を不正に利用してはならない。当該業績に関する秘密は、これを保持しなければならない。
(本学の責務)
第18条 本学は、研究者の研究倫理意識を高揚させるために必要な啓発、倫理教育の計画を策定し、実施する。
2 本学は、この規程の運用を実効あるものにするため、研究者の研究倫理に関する適切な措置を講ずる。
3 本学は、研究に関して、不当又は不公正に関する告発、苦情、相談等に対応する。
4 地域連携・研究推進委員会は、前3項を達成するために必要な措置を講ずるものとする。
(庶務)
第19条 この規程に関する庶務は、地域連携・研究グループ地域づくり総合センター担当が処理する。
(準用)
第20条 この規程の運用に当たっては、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定(令和3年2月1日改正))及び「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)を準用する。
第21条 削除
(補則)
第22条 この規程に定めるもののほか、研究倫理に関し必要な事項は、学長が定める。
附則
この規程は、平成29年4月1日から施行する。
附則(平成30年4月1日)
この規程は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和2年4月1日)
この規程は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和3年4月1日)
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和4年4月1日)
この規程は、令和4年4月1日から施行する。
附則(令和5年4月1日程第37号)
この規程は、令和5年4月1日から施行する。