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社会福祉学部の必修科目「人間と社会の理解」で越田ゼミがB型肝炎患者による「患者講義」を実施しました

 11月30日(水)に、社会福祉学部の必修科目「人間と社会の理解※」で、越田明子教授が担当するゼミナールの1年生が、集団予防接種等による注射器の使い回し等でB型肝炎に感染した3名の講師による「患者の声から学ぶ~包括的・共生社会へ向けて~」というテーマの「患者講義」を聴講しました。

 2コマ180分を十分に使用し、はじめにB型肝炎を理解するための病態や症状、感染ルートについての講義に続いて、発症時の思い、症状のつらさ、感染症であることに起因する理不尽な体験、そして地域や家族や仲間の大切さ、学生らに期待することについて語っていただきました。後半には「もしも自分が感染した場合友人に伝えるか否か」という問いについて意見交換しました。そして、多くの学生が「正しい知識が必要」であることをあらためて確認し、早速、家族や友人に伝えたという人もいました。

※「人間と社会の理解」本学では社会福祉学部の「導入科目」として、「人間と社会の理解」という必修科目を設けています。この科目は少人数のゼミナール形式で行われており、人間と社会が関わりあう現実場面を広く体験することを通して、問題を自ら発見・考察し、まとめる作業を行い、課題探究力を養うことを目的としています。

講義の様子

講義の様子

講師の皆さん

講師の皆さん

真剣に話を聞く学生たち

真剣に話を聞く学生たち

講師の先生の体験を聞き、自分に置き換えて考える学生たち

講師の先生の体験を聞き、自分に置き換えて考える学生たち

学生たちの感想

1)今日の講義を受けて、自分の知識の中で物事を判断し決めつける怖さを感じました。夏に勉強したハンセン病も同じですが、B型肝炎も感染の仕方や予防の正しい知識を身につける事が大切だと思います。また、お話の中で「話す人がいる事、話す場所がある事で安心できる」という言葉を聞いて、B型肝炎の正しい知識を少しでも多くの人に理解してもらいたいと感じました。まずは家族や友達からB型肝炎について話していきたいです。(女子)

2)今日の講義を聞いて、B型肝炎がなにかはっきりとしました。正直、講義前や事前学習前は「B型肝炎?」聞いたことはあるけどなんだろうって感じでした。B型肝炎が、こんなにもつらく差別や偏見を受けていると聞いて悲しくなりました。しかし、自分がこういう講義を受けていなかったり、福祉の勉強をしてなかったらそういう風に思ってしまうのかなと感じました。でも、講義を聞いて自分がこれからどうすれば良いのかが分かったのでこれからに活かしていきたいと思いました。(女子)

3)今日のお話を聞かなければ、患者さんとの距離はかなり遠くなっていたと思います。また、自分がかかったら友達や家族に話すことが出来るかと考えた時、言ってしまったら離れてくと思いました。3名の方の経験談から、差別や偏見が今もあると知った時、悲しくなりました。ですが、貴重なお話を聞けてとてもよかったです。(女子)

4)お話を聞き、感染について認識を改めていかなければいけないという気持ちになりました。ハンセン病について学びに行った時に母に報告したのですが、「行って大丈夫なのか」「危なくないかと」心配されました。その事で私は母のようにハンセン病も知らなければ感染経路についてもちゃんと知らない人が多い事を知り、今回のお話で知っている人たちが知らない人たちに教えて理解を得ていかなければいけないのだと感じました。(女子)

5)私が、今回の患者講義で印象に残ったことは、身体的な苦痛だけではなくて、精神的苦痛が人生の中で大きく付きまとうのだということでした。しかし、世間の差別や偏見を乗り越えて、小さなことでも幸せを感じることができるお話しをお聞きし、素晴らしいことだと思いました。(女子)

6)講義を通して感じたことは、肝炎患者に限らず病気の人や何かを抱えている人には心から寄り添っていくことが大切だということです。自分から話す手助けをしていくことで相手もより生き生きと時間を過ごすことができるのではないだろうかと考えました。(女子)

7)B型肝炎や、C型肝炎について知ってはいましたが詳しい知識を知らずにいました。しかし今回の患者講義を受けて衝撃をうけました。それば、肝炎でこんなにも差別があるということです。ハンセン病の人たちの経験と同様に、正しい知識がないから差別が生まれるということです。これから自分が正しい知識を伝えていかなくてはならないと思いました。(男子)

8)今回の講義を通して私が考えたことは、差別に関する問題は、何度もくり返し起きていることについてです。今回のお話もそうですが、ハンセン病問題にも言えることで、考えさせられました。そして、自分たちが将来にどれだけ活かしていくかが求められるということも感じました。(女子)

9)今回、3人の方にB型肝炎についての体験談を話して頂いて衝撃を受けました。感染症や病名を発しただけで普通の生活が出来なくなり、怖くて誰にも話せないで抱え込んでいる人がいると聞いて言葉が出ませんでした。私は、これから1人の理解者として伝えていきたいと感じました。また、これからの社会にも伝えていくことが大切だと感じました。(女子)

10)講義から、B型肝炎の知識を得ることができました。過去に患者とその周りに対して浴びせられた偏見や理不尽な対応を当本人から直接聞くことでより現実的な状況や当時の気持ちが伝わりました。B型肝炎の症状によって、だるくて体が動かせなかったことについて知らない人には理解されず苦しい思いをしたのだと感じました。発症当時の社会状況では社会人は休まず一日中仕事をし続けるのが普通と思われていて、自分でも病気だと気付かず、「だるさが病気のせいだとは到底思わなかった」という言葉がとても印象に残っています。今回の講義で学んだことを胸に誰もが普通に暮らせる社会を考えていきたいと思います。(男子)

11)肝炎、B型肝炎について、当時の予防接種で注射を一人ひとり変えるという今では当たり前のことをきちんと行っていれば全国に肝炎ウイルスが広まることもなく、現患者の方達が世間から辛い思いをすることも無かったと思いました。当時の政府の責任がいかに大きかったのかが分かりました。(男子)

12)差別は自分が事前学習で学んだ以上のものでした。それを乗り越え、肝炎について訴え続けていることは自分たちのような福祉を学ぶ者にとっては良い刺激になりました。(男子)



※越田ゼミでは、9月14日(水)に、社会福祉学部の必修科目「人間と社会の理解※」で、越田明子教授が担当するゼミナールの1年生が、群馬県草津町にある「国立ハンセン療養所栗生楽泉園・重監房資料館」を訪問し見学し、ハンセン問題について学んできました。
https://www.nagano.ac.jp/news/20160930_2/index.html

【基本知識として】

 B型肝炎ウイルス(HBV)は、血液や体液を介して感染します。主な経路は血液への接触、母子感染、性交渉によります。したがって空気感染はしません。感染によって、ウイルスが肝臓にとどまり、成人して慢性肝炎を発症、肝硬変や肝がんへ進行することもあります。
 B型肝炎ウイルス感染者の多くは幼少期に経験した集団予防接種の際に注射器具が使い回しされたことによって感染し、被害が拡大しました。そして、すでに欧米では危険性が知られていたにもかかわらず厚生省(現厚生労働省)が放置していたことで、推計では約45万人以上の方が感染し、戦後最大の感染症ともいわれるようになりました。また、肝炎ウイルス検査を受けたことがない人の中には、自分が感染していることを知らずに生活している方も多くいるといわれています。感染した方々の中には、わたしたちの多くが当たり前のように経験している学校生活や就労、結婚、子育てなどにおいて、いわれない偏見や差別を経験している人がいます。そのために病気のことを誰にも明かせずに、肝炎や肝硬変、肝がんによって死の恐怖を抱えながら生きる人たちもいます。また、大切な人を亡くした遺族もいます。感染した方や遺族が経験してきた健康被害や生活のしづらさは、わたしたち誰にでも起こりうることです。この感染拡大の法的責任が国にあることは、2006(平成18)年の最高裁判決で明確になりました。そして2011(平成23)年に、国は正式に責任を認め、ウイルス性肝炎患者の治療や生活支援、感染者への偏見・差別をなくすための対策などについて定めた「基本合意」が、国と全国原告団(被害者)・弁護団との間で締結されました。
 近年、B型肝炎に感染した患者らが、病気に関する正しい知識を持ってもらおうと地域や学校で訪問講義をする取り組みが広がっています。