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企業情報学部学生が「経済魚としてのブラックバス活用研究」を発表

ポスター発表会場の様子

来場された方と意見交換する小林貴樹さん(左)と平林義雄さん(右)

プロジェクト研究の成果を千曲川流域フォーラムで発表

3月2日、長野大学で開催された千曲川流域フォーラムで、企業情報学部4年生の平林義雄さん、小林貴樹さんが、前川道博ゼミナールで取り組んで来たプロジェクト研究の成果をポスター発表しました。


プロジェクト研究「経済魚としてのブラックバス活用研究」

平林義雄さん、小林貴樹さんは2010年度から前川道博ゼミナールでプロジェクト研究に取り組み、2011年度から2012年度にかけては研究テーマ「経済魚としてのブラックバス活用研究」に取り組んで来ました。

米国ではバスフィッシング人口は1500万人、その経済効果は1兆2000億円もあるとされています。その一方、日本におけるバスフィッシング市場は人口300万人、経済効果1000億円と小さく、米国のような巨大市場にできないだろうかと考えたことが研究の発端です。しかしながら、日本では、外来魚でもあるブラックバスは日本の生態系を破壊するとして特定外来生物の指定を受け、駆除・規制強化の対象ともなってバスフィッシング人口の減少、市場の縮小という現象も起きています。こうした状況を踏まえつつ、「日本で経済魚としてブラックバスを活用することは可能なのか」を探る研究を進めてきました。この課題を探求していくため、野尻湖、琵琶湖の現地調査を行いました。

野尻湖の調査

野尻湖でのバスフィッシング

野尻湖は1995年のルアーフィッシング解禁に伴い、日本全国からバスフィッシング愛好家が集まるようになり、バスフィッシングが停滞し続ける観光業の救世主となっている状況に着目をし、平林さんたちは自分たちでバスフィッシングを体験してみるとともに、野尻湖漁業共同組合にもヒアリング調査を行い、遊漁収入が1995年に200%以上成長したこと、その後も野尻湖の大きな収入源となっている状況を調べました。ブラックバスが貴重な観光資源として活用されていることがわかりました。

野尻湖におけるバスフィッシングは、バスフィッシング関係者が地元の漁業組合との協議・合意により、バスフィシングから得た収益で在来種の放流・湖の清掃活動など在来種の個体数維持を行っているなど、バスフィッシングを容認し積極利用できる環境が整っていることに「経済魚としてのブラックバス活用」がよい形で実施されていることがわかりました。

一度、河川に放された外来魚はその駆除がむずかしく、根絶することはほとんど不可能であることが現実の状況です。すでに外来魚が棲息してしまった河川においては、ほとんど効果の上がらない外来魚の駆除に腐心するのではなく、むしろ逆に外来魚を活用して収益を上げることが現実的な対処ではないかというのが、研究の一つの結論です。

琵琶湖の調査

琵琶湖の外来魚対策の一例

琵琶湖の外来種回収ボックス

平林さん、小林さんは、野尻湖の調査で「経済魚としてのブラックバス活用」の可能性を検証することができたものの、野尻湖の位置がどうなのかは他の湖沼とも比較して、その状況を理解する必要があります。そのため、日本最大のバスフィッシングのフィールドでもある琵琶湖を現地調査し、その実情の把握を行いました。

琵琶湖はブラックバス、ブルーギルなどの外来魚が増え、その補食圧により在来種が減少して、漁獲量が減少し続けている状況が報告されています。また、ソフトルアー、ラインなどによる汚染問題も指摘されています。琵琶湖には年間80万人もの釣り客が訪れ、バスフィッシングの経済効果が大きいことがわかりました。その一方で、釣り上げたブラックバスを処分のための外来種回収ボックスが設置されるなどの対策も講じられています。

研究の結論

ポスター発表をする平林義雄さん

ポスター発表をする平林義雄さん

ポスター発表をする小林貴樹さん

ポスター発表をする小林貴樹さん

平林さん、小林さんは、ブラックバス活用研究を総括し、次の3つの結論を導出しました。
【1】生態系に及ぼす影響
 ブラックバスが多くの魚介類を捕食し、漁獲量の減少の要因となっている。
【2】漁協とバスフィッシング業の双方が利益を上げる方法
 野尻湖は漁協、バスフィッシング業者、行政がブラックバスの経済利用を協力して調整している。駆除に多額のお金と労力をかけるよりも、すでにブラックバスが棲息している湖沼においては漁協、バス業者が共に利益を上げる協力が現実的な解決策である。
【3】食用としてのブラックバスの活用
 琵琶湖では過去にブラックバスをビワスズキブランドで販売した経緯がある。食用としての流通を模索することが課題である。

平林さん、小林さんの「経済魚としてのブラックバス活用研究」は、環境保全の観点から外来魚駆除一辺倒に陥りやすい外来魚問題に対する、一つのアンチテーゼでもあります。外来魚駆除のために莫大な費用が投じられて経済効果を生む形ではなく、すでに棲息してしまったブラックバスを活かして経済効果をあげ、その利益の一部を環境保全に回して経済と環境保全の両面で成果をあげていくことが、今後に向けて期待されます。