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ホーム  > ニュース&トピックス  > 社会福祉学部黒沢惟昭教授がチャベス大統領と会談  > カリブの新しい星― べネズエラとチャベス大統領 ―

カリブの新しい星― べネズエラとチャベス大統領 ―

8月23日~29日の一週間、南米ベネズエラへ行ってきた。駐日ベネズエラ大使館の招待によるものであった。主要な目的は、ベネズエラの知識人との討論会である。日本からは私のほか、東京芸大、東京外語大、神戸大の教授でコーディネーターはNHKスペシャルのプロデューサー日置一太氏が同行した。

 時差の関係で23日の夕方、首都カラカスに到着(25時間のフライト)。翌24日は市内の文化ホールで300人の聴衆のもとに、シンポジウムが哲学、社会運動、芸術、教育、メディアをめぐって行われた。記念講演は有名なアメリカの言語学者ノーム・チョムスキー。私は日本の教育について、とくに臨教審以来の新自由主義政策によって格差の拡大の現状を報告。11時~夕方7時まで軽食の1時間以外は休みなしで、活発な討論が展開された。全てテレビで実況放映された。フロアからも多くの意見がでた。内容については、近く報告集が出る予定なのでそれを参照されたい。

 翌25日は市内見学。とくに「バリオ」といわれる低所得者層の居住区が興味深かった。チャベス大統領になってからここの生活全般(とくに住居、医療)が急速に改善されている。住民のチャベスに対する熱烈な信頼を実感した。また、医学の進んだキューバの医師、看護師による医療活動にも感動した。その後、午後はいくつかの放送局を見学。南米全体のネットワークによるテレビ放送。一方、NPOによる地域放送では国営に負けない、いい番組をつくるという当事者の意気込みを感じた。とくにベネズエラでは、テレビは政治に大きな影響力があることを帰国後に知った。大統領は自分の専用の時間をもっている。

 26日は待望のチャベス大統領と会見。夕方5時~8時まで官邸で行われた。テレビでも放映され、なんと大統領自ら司会し閣僚が10人も出席したことは驚きであった。
いま、隣国コロンビアにアメリカの基地が8つつくられようとしている。打倒チャベスの前線基地である。その対抗のためにコロンビアとの国境に大規模な集会が開かれていた。そこの人々に大統領はテレビを通じて声援を送った。われわれ日本人にも、私たちは武力でアメリカに対抗しない、平和(デモンストレーション)の力でやるんだと説明した。
「日本には平和憲法がある。その理念は大統領の考えと同じだ。日本国内にもアメリカの基地があるが、なんとか平和的手段でなくしたいと考える日本人は多くいる」と私は述べた。大統領が私の献呈したグラムシの拙著を手にして「私もグラムシに関心をもっている。とくに“歴史的ブロック”の考えは大切だ。南米全体のブロックでアメリカに対抗したい。この本をスペイン語に訳して読みたい」といってくれたのに恐縮しつつもうれしかった。
「昨日、バリオを見学した。グラムシは民衆の力による社会変革を強調している。バリオには変革のエネルギー(ヘゲモニー)がある。一層の改革を期待したい。」私はこれまでのグラムシの研究に新しい面を学ぶことができてとてもうれしかった。

 翌27日、パリ経由で再び25時間の旅。カリブの空に新しい希望の星を仰ぎみる思いで、充実した気分のもと29日朝、成田に戻った。(完)

(社会福祉学部 教授 黒沢惟昭)