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受験生の方へ

久保木匡介 教授

環境ツーリズム学部
久保木 匡介 教授
担当講義:地方自治論、政治学概論、まちづくりの政治学 他


学びを通して、自治体の政策プロセスに関わる力を養う

住民の声を公共サービスに活かす

 私の研究テーマは、行政学における行政統制論です。行政学は一言でいえば、行政を含む公共サービスのより良いマネジメントのあり方を考える学問です。私たちは、さまざまな組織から提供されるサービスを受けながら生活しています。公共サービスにおいて重要なのは、利益を生むことよりも利用者や地域社会を支え貢献することです。そのためには、組織やサービスの運営に、利用者や地域住民の多様な声を反映しサービスを改善していく仕組みが必要となります。これが、住民本位の行政統制の根本にある考え方です。

イギリスの教育改革から考える公共サービスのあり方

 行政統制の仕組みは、議会や裁判所による外部統制と監査や自己評価を用いた内部統制に分けて論じられてきました。しかし、近年公共部門にも競争原理と外部機関による事後評価を導入し、市場メカニズムによる統制を行う動きが強まっています。私は、このような変化をイギリスの教育サービスを対象に研究しています。イングランドでは、1980年代から学校選択や学力テストによる学校間競争を強め、教育水準局という評価機関による学校の格付けを通じて競争的な評価を行ってきました。その結果、業績の上がらない学校の廃校や民営化が進行し、地域に根づいた教育サービスが失われる事例も生じています。他方で、スコットランドではそのような競争原理や外部評価を採用せず、学校や教員の専門性と自治体の支援に基づく学校改善を進めています。イギリスという一つの国の中で生まれた好対照な事例は、日本の公共サービスの統制を考えるうえでも必要な視点です。

持続可能な地域づくりのために

 ゼミでは、持続可能な地域づくりを進めるため、住民の声を自治体政策にどう反映させるべきかを、環境政策を中心に議論しています。日本では、地方創生の名のもとに、政府が定めた枠組みに基づいて人口減少への対応や地域活性化が行われています。しかし、持続可能な地域づくりの条件は地域によって多様です。必要なことは、地域の将来を地域住民自身が議論して決めることであり、そのための仕組みを政策ごとに再構築していくことです。学生たちは、そのことを具体的な政策過程に即して考え、地域活性化のあり方について学んでいきます。

久保木匡介教授からのメッセージ

 最近のゼミでは、水資源の管理や景観まちづくり・公害被害からの地域再生に取り組んでいる自治体に注目しています。独自の政策を作る力のある自治体は、どのような方法で住民のエネルギーを政策形成に結びつけているのか、具体的な事例を学ぶ中で考えることが大切です。学生も地域住民の1人です。大学での学びを通して、自治体の政策プロセスに関わる力を養いましょう。