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遠藤忠 准教授

社会福祉学部
遠藤忠 准教授
担当科目:: 社会・集団心理学


こころの働きを可視化する客観性を重視する心理学的アプローチ

心理学は“測定の科学”です

 心理学は、ヒトの心理(意識や行動)のメカニズム(法則性)を明らかにする実証科学です。心理学研究では、そのメカニズムを明らかにするために主に心理尺度を用いて測定し、測定で得られたデータをさらに統計処理・分析するとともに、その結果について論理的・合理的な解釈をしていきます。
 私は心理学の中でも、高齢者心理学と社会心理学の両分野にまたがって研究・教育を実践しています。主な研究テーマは「認知症に対する態度(ステレオタイプや偏見)の測定」、「偏見低減要因の解明」、「老性自覚(主観的な老いの意識)」です。この他にも「被開示性(相手から自己開示されやすい傾向)」や「高齢者介護における自律性支援のあり方」というテーマにも取り組んでいます。
 ここでは上記研究テーマのうち「認知症に対する態度の測定」について紹介したいと思います。まず“態度”について簡潔に説明します。ある事柄(例えば,認知症)に対し、私たちは個人において一貫した行動をとる傾向があります(例えば、認知症の当事者とわだかまりなく接するまたは接触を避ける程度)。その一貫した行動を方向づける意見や信念、感情などを包括的に“態度”といいます。
 なお、ある集団(例えば、認知症患者)に対し私たち個人がもつ根拠にもとづかない固定観念やイメージ(例えば、認知症になると何もかもわからなくなる、など)を“ステレオタイプ”といい、このステレオタイプに否定的な感情要素(怖い、嫌いなど)が付加されると“偏見”となります。さらに偏見が行動化したもの(偏見対象を排除する、嫌がらせをするなど)を“差別”とする考え方もあります。

偏見の低減をめざす研究の取り組み

 わが国では認知症施策において「認知症に関する理解促進のための普及啓発」を一点目に掲げています。この理由の一つとして、一般世間において“認知症を患う人”に対する肯定的態度の醸成が課題となっていることが考えられます。
 そこで私の研究室では、他大学の研究者とも協力して、認知症に対する態度を測定するための技法
(調査項目など)を開発するとともに、これらを用いて、認知症に対する偏見の低減要因を見いだす取り組みを行っています。見いだされた知見については、学術大会などで報告するとともに、地域の市民向け講座や講演会でも活用しています。

遠藤 忠准教授からのメッセージ

 研究を遂行するためには、その研究テーマの動向を的確に把握することが大切ですので、ゼミでは、主に学術論文などの輪読を行っています。また私の研究に積極的に関わってもらうことで、卒業論文の執筆に向けて研究実践力を高めていきます。受験も研究も、日々の地道な積み重ねがいつか実を結ぶという点では同じものです。受験生の皆さんには、それぞれの夢に向けて日々の積み重ねを大切にしてほしいと思います。