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矢野亮 教授

社会福祉学部
矢野亮 教授
担当講義:社会福祉政策 他


人口減少社会のなかで考える社会福祉のあり方とは

地域と連携しながら進める生活保障と限界集落の研究

 現在は主に2つのテーマで研究を進めています。
 1つ目は「生存保障システム」で、生命や生存をつないできた社会的仕組みが時代的・歴史的な文脈のもとでいかに変容し、現在の社会福祉を形成してきたのか。1990年代以降のグルーバル化・高度情報化・少子高齢化における各種の政策を社会科学的に解明することを目的としています。
 2つ目は「限界集落の社会福祉政策」です。限界集落とは、集落における高齢化率が50%を超えたために共同活動の機能が低下し、社会的共同生活の維持が困難な集落のことで、全国で2万以上あると報告されています。ゼミの研究チームでリサーチしたところ、長野県の77市町村のうち、すでに約29が将来その傾向にあり、隣接県でも同様の推移がみとめられました。限界集落という概念を提唱した元長野大学教授の大野晃さんは、これらの集落を「現代的貧困の蓄積地域」として自治体行政による生活保障の重要性を訴えてきました。大野さんによる緻密な実態調査は2008年が最後となりましたが、この分析概念を用いて地域の人々の生活を把握する調査研究を進めています。また、大学院では「最低生計費試算調査プロジェクト」に参画し、地域課題の解決策を模索しています。

先達が科学してきたことを理解し、継承できる授業づくり

 授業では、社会福祉政策の国際比較を通じて日本の政策的課題を明らかにします。そしてグループディスカッションなどを行いながら、地域や家族など、私たちの生存にとってより身近な社会的仕組みについて考えていきます。社会福祉政策が公共政策のなかのどの部門に位置づけられてきたのかという歴史的な経緯を確認しながら、社会福祉政策の意義についての理解を深めていくこと。社会科学の先達がどのように「社会」を構想し、社会問題を解決しようとしてきたのかを踏まえ、現在生じている諸問題に社会福祉政策がどのように対応していけばよいのかを資料やデータにもとづき熟考していきます。貧困などの長期的にしか解決しえない課題について取り組んでいます。

研究活動を通じて、地域貢献できる力を育む

 専門ゼミナールには現在、「地域アセスメント研究チーム」「限界集落研究チーム」「社会福祉の政策と歴史研究チーム」の3つの活動があります。それぞれ国内外の文献講読や社会調査などを行い、住民が直面している地域生活課題を把握する力や情報を多角的に分析する力、さらに課題を解決するために住民や行政、民間団体等と問題意識を共有・連携して社会を構想する力を身につけていきます。最終的には専門ゼミナール報告集や卒業論文としてまとめています。

矢野亮教授からのメッセージ

 将来、資格を活用してより高い専門性を発揮し、長く仕事を続けられるように、その基盤となる教養を重視しています。積極的に行動しそれを振り返ることで考えながら動ける「考動力」を促しています。コロナ渦だからこそ深く考え、学び続けることの大切さに気づいてもらいたい。その基盤となる知識や技術、学問の価値を伝達できるように助言・指導しています。ぜひ楽しみながら、たくさんの気づきを得ていきましょう。