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ゼミナール紹介

信州の自然豊かなフィールドが学びの場です。実践的で知識豊富な教授陣から学べる少人数・体験型のゼミが魅力。



「ゼミ」とはゼミナールの略で、ゼミナールは実はドイツ語読み、英語ではセミナーとなります。各教員の専門分野に近い研究テーマを自分で考え、先輩や同級生たちと議論しながら、考えを深めていきます。ときには学外に出かけて、聞き取りや視察などの調査を行い、その結果を踏まえてさらに考えたり、議論したり、といった授業です。最終的には卒業研究論文やゼミ論文を仕上げることを目標としており、もっとも大学らしい学びのスタイルといえます。

長野大学環境ツーリズム(観光)学部には、環境、観光、地域などを専門分野とする教員が10名いて、学生は、自分が興味をもった分野の教員の指導を受けながら、自分なりの研究テーマを見つけだし、様々な調査・研究を行っています。各ゼミの活動や先輩たちが行っている研究のごく一部をご紹介しましょう。

〈環境系〉 佐藤哲ゼミ: 自然環境と調和した地域社会の持続的発展のために

地域社会の協力のもと実際の取り組みに接し環境問題を学びます。

長野県佐久市の佐久鯉再生運動

長野県佐久市の佐久鯉再生運動

地域環境学ゼミ 
佐藤哲のホームページ

地域社会主体の環境保全への取り組みについて調査・研究しています。
環境問題の解決には、地域レベルから環境と調和した社会とライフスタイルを構築していくことがたいせつです。私たちは地域レベルで環境と地域の発展の両立をめざす日本または世界各地の活動をひとりひとりが研究対象として選択し、実際に現場に出かけて観察するフィールドワークと資料や文献の分析の両面から、地域の望ましい将来像とそれを実現する方法を検討しています。これによって、自然環境と調和した地域社会の発展のための理論と方法を明らかにすることが目的です。

ゼミでの研究は2年生の入門ゼミでの予備調査から始まり、3年生の専門ゼミで内容を深め、4年生では研究の集大成として卒業論文を完成します。

2008年度には釧路湿原のエコツーリズムの研究、および上田市塩田平のため池の環境と兵庫県東播磨地区のため池エコミュージアムの取り組みを比較研究した卒業論文が完成しました。長野県佐久市の佐久鯉再生運動、兵庫県豊岡市のコウノトリ野生復帰、石垣島のサンゴ礁保全等の研究も進んでいます。

日本各地の環境保全の取り組みの現場をみんなで訪問して地域の方々と交流し、さまざまな活動を体験するゼミ合宿を行っています。2009年度は佐賀県鹿島市の有明海を訪問し、干潟の環境保全と地域づくりの活動として有名なガタリンピックの運営にボランティアとして参加しました。これは、泥だらけの干潟に入って遊ぶ楽しさを活かして、干潟のオリンピック(ガタリンピック)というイベントを25年も継続している事例で、干潟の自然環境を保全しながら地域づくりに活用するすばらしい取り組みです。

ゼミの学生たちは、それぞれ自分で選んだ地域に出かけ、現場の活動に参加しながら調査を行っています。2009年は新潟県佐渡の和太鼓集団「鼓童」によるアースセレブレーションというイベントにボランティアとして参加して間伐材を活用した家具作りについて調査した学生、石垣島白保のサンゴ礁保全の研究で卒業論文に取り組んでいる学生などがいます。

ゼミ合宿

毎年1回のゼミ合宿は、多くの学生にとって初めての体験となるような地域の事例を選んでいます。昨年は沖縄の石垣島白保のサンゴ礁保全の取り組みを体験しました。白保サンゴ礁の研究と地域づくりに活躍するWWFサンゴ礁保護研究センターを訪問し、現場で活躍する研究者や地域の方々との交流を通じて、豊かなサンゴ礁を活かした地域づくりの道筋を考えました。生まれて初めてサンゴ礁でのスノーケリングを体験した学生たちは、サンゴ礁の自然のすばらしさと地域社会にとっての価値について深く考えることができたと思います。こういった学生時代にしかできない体験によって視野を大きく広げ、地域から世界を見つめる目を養うことができるのが、このゼミの特徴です。

市川さん

市川 雄太さん
平成20年度 産業社会学科卒業生 長野県出身

自分を変えたいと思って入った地域環境学ゼミ。何かを独力でやろうと、釧路湿原のカヌー川下りを研究のテーマに選び、夏の北海道に3年間通いました。現場に触れ、多くの人と接するなかで確かに自分の成長を感じ、自信もつきましたね。

〈環境系〉 高橋大輔ゼミ: 淡水における生態系サービスの持続的利用のために

川に住む生き物たちの視点から地域の自然を考えます

人間は川や湖沼などの淡水域から様々な恵み(生態系サービス)を享受してきました。近年、人間の社会活動による生態系の改変のために、淡水の生態系サービスは劣化の一途を辿っています。本ゼミナールでは、長野県内を流れる河川や湖沼における生態系サービスの現状ならびに伝統的な利用方法などについてフィールドワーク(野外調査)を中心とした調査を行い、淡水生態系から得られる恵みを利用する様々な利害関係者と協同して、地域単位で生態系サービスを持続的に利用するための具体的な方策について考えていきます。

⇒ 詳しくは、高橋大輔のホームページ

〈環境系〉 高橋一秋ゼミ: 森林の生態系サービスを地域に活かす

森林の生態系に学び、地域に活かす研究を目指しています

森林の生態系サービスが活用されている事例とその社会的・生態学的効果を総合的に調査するとともに、森林の生態系サービスを地域に活かすためのアイディアや方法、地域のニーズについての情報収集を行い、地域づくりに貢献する森林の生態系サービスの活用方法やその理論を研究します。

今年度は、たとえば3名の3年生が、2009年10月17日に、東京大学で開催された「第1回全国エコツーリズム学生シンポジウム」で、「樹皮剥ぎによる昆虫誘引の手法開発と観光化」のテーマでポスター発表しました。エコツーリズムとは、各地の豊かな自然環境を生かし、その素晴らしさを守りつつ、楽しめるような観光を考えていこうという、新しいアイディアで、世界各国で注目されている研究分野です。

⇒ 詳しくは、高橋一秋ゼミナールの紹介 高橋一秋ゼミナール・ブログ


〈観光系〉 三田育雄ゼミ: 観光まちづくり

観光を軸とした農村のまちづくり・むらづくりを地域のみなさんと考える。

三田ゼミ

観光まちづくりをテーマにしているゼミとしては、地域の中で課題を見つけ、地域の中で情報を集め、地域の中で考え、そして地域へ向けて提案を行い、地域の中で仕事のできる学生の育成を目指しています。

平成20年度は長野県立科町の農村エリアのほっとステイ(日帰り型の農家滞在)、観郷ウォーク(環境、食などに関する設問に答えながらの地域ウォーキング)の体験・観察や農産物直売所の聴き取り・アンケート調査を行いました。これらの情報を基に、農村でのツーリズムのあり方を考え、最後にフィールドとなった地域で関係者や住民のみなさんへプレゼンテーションをします。

平成21年度は、塩田平に開設された田園空間整備事業のコア施設「とっこ館」の利活用の促進策の提案(3年生)と、別所温泉の魅力創生事業の一環として、「地産地消」部会が取り組んでいる農産物直売所の改善計画の提案(4年生)を行うこととし、以下のような研究・調査活動を実施しています。
①別所温泉、塩田平(前山寺)の観光者の動向と志向に関する調査(アンケート調査)
②別所温泉直売所、道の駅「あおき」の利用客の実態調査(アンケート調査)
③関係者のインタビュー調査(コア施設検討委員長、地区自治会長、直売所店長、市土地改良課長など)
④先進地視察研修(群馬県川場村田園プラザ川場、群馬県みなかみ町たくみの里)

ゼミでは、教室の中で文献をベースにして考えるのではなく、活動の原点を実際のフィールドにおいていること、実践で役に立つ手法や知識の学習すること、そして地域の中で学習成果を発表することに重点を置いています。
①フィールドベースの調査・研究活動
  ・地域を踏査・観察したり、聴き取りをする中から課題を抽出する
  ・課題を考察・検討する上で必要な情報は、どこでどのようにすれば入手できるかを知る
②実践的な手法や知識の学習
  ・入手した情報を加工するとともに、統合してアウトプット(結論づける)手法を知る
③地域の中での成果の発表
  ・聴き取りをしたり、情報提供をしていただいた地域の皆さんの前で学習成果を発表する

前山寺参道での利用者アンケート調査

前山寺参道での利用者アンケート調査

道の駅あおきでの聴き取り調査

道の駅あおきでの聴き取り調査

キャンプ場計画現地調査

キャンプ場計画現地調査

教室でのグループ作業

教室でのグループ作業

大島さん

大島 晃史さん
環境ツーリズム学科3年生 長野県出身

地域にあるものをいかす方針なので、何気ないものが対象になったりします。考える過程でふだん見えていないものが見えてくるのがおもしろい。地域の人のために何ができるか考えて、それが地域の人々との交流にもなっていくのでやりがいがあります。


〈観光系〉 図師雅脩ゼミ: 交通、観光問題

交通、観光の問題を総合的に理解するために、社会科学を総動員して考察、調査しようというゼミです。社会科学の中でも会計学、経営学、経済学を分析の主な手段としています。観光、交通関係のビジネス、企業を研究するため、経済学等の社会科学を学ぶためには、多少の数学が必要ですが、中学時代の数学からわかりやすく解説しています。

今年は、コミュニティ体験の授業で川越に出かけました。

川越のまちのようす

川越のまちのようす

お買い物を楽しむ

お買い物を楽しむ

街並みを散策

街並みを散策

〈観光系〉 斎藤功ゼミ: 高級避暑地軽井沢の変貌

軽井沢の避暑の始まりは、どのようなものだったのでしょう。その後、この町は今日までにどのように変わってきたのでしょう。近年は新幹線の開通による避暑地の変容が確実に生じています。斎藤ゼミでは、日本の代表的な避暑地である軽井沢をフィールドに、地域の様子や実情が変化していく要因について考えています。

ブラジル田舎祭りのようす

ブラジル田舎祭りのようす

〈観光系〉 臺純子ゼミ: 観光地の魅力とは何だろう?

観光客でにぎわう飛騨高山の朝市。どんなものが売れているのかな?

観光客でにぎわう飛騨高山の朝市。どんなものが売れているのかな?

観光は常に、観光を提供する側(観光産業や観光地)と、観光を享受する側(観光者)との相互作用の中で変化していくものです。では、多くの人が集まる観光地では、どのような「こと」や「もの」が作られているのでしょうか。そして、それらはなぜ「ひと」に支持されるのでしょうか。こうした視点から観光地の魅力とは何かを研究することをゼミの目標としています。

今年度は、岐阜県高山市といわき市のスパリゾートハワイアンズを主な研究対象地とし、なぜ多くの観光客が訪れるのか、その魅力は何なのか、など、夏休み中に現地視察調査を行いました。現在、ゼミ論文執筆に向けて、各チームや各個人で分析を行っているところです。


そのほか、世界各国が「観光」にかける熱意を感じることができるよい機会として、観光関係では日本最大のイベントである世界旅行博に、小長谷ゼミと合同で参加しました。

今夏公開された映画『サマーウォーズ』では上田市が主な舞台として登場しました。これを機にした大がかりな観光振興として、上田市観光課が行った「映画『サマーウォーズの里』 信州上田」観光キャンペーンに、シモンズ先生の英語Ⅶクラス、インターンシップ、および本ゼミが、全面的かつ有機的に協力しました(一人の学生は、すべての授業で関わっています)。来年度も、サマーウォーズをテーマにした観光プロモーションは継続されるので、ゼミとしても協力体制をとる予定です。

関連ニュース&関連Webサイト
長大生が上田市の『サマーウォーズ』外国語サイトの制作に協力
上田市ホームページ内『サマーウォーズの里「信州上田」へようこそ!』

こうした映像コンテンツが観光に与える影響を考えるという視点から、最近の「歴女ブーム」のきっかけにもなった「BASARA大名とその聖地巡礼としての旅行」を研究テーマに取り上げている学生もいます。

映画「フラガール」にちなんだミュージアムで、ハワイに行った気分?

映画「フラガール」にちなんだミュージアムで、ハワイに行った気分?

小長谷ゼミと合同で出かけた「世界旅行博」で、世界各国の観光案内を見学してきました。

小長谷ゼミと合同で出かけた「世界旅行博」で、世界各国の観光案内を見学してきました。


〈地域系〉 古田睦美ゼミ: 地域資源を活用した元気なまちづくりを実践的に学ぶ

大学での学びを地域社会に還元し共生の道を歩みます。

古田ゼミ

信州らしい「食」「農産物」などの地域資源を活用した地域作り、観光の振興について地域の課題を調べ実践的に研究しています。産地とまちをむすび、農業を地域で支えながら地域を活性化させる新しい都市農村連携のあり方について、地域通貨、コミニティビジネス、スローフード、地産地消、CSAなど地域作りの最新の手法について学んでいます。

大学で学んだ知識を用い、地域の課題に応える。こうした学びの中で、学生たちも生きる力を身につけていきます。



山口大根の保存活動支援と原町商店街の活性化事例について、地域共生の事例として、長野県農村医学会大会、地域作りの部において、学会報告を行った学生、別所温泉魅力創生協議会と連携して、シナ大根系みどり大根8種類の実験栽培、適正調査やモニター調査を行い、別所温泉の名物づくりにとりくむ学生、山口大根ドレッシングなどの商品化にとりくむ学生などがいます。

清住さん

清住 浩一さん
産業社会学科4年生 長野県出身

山口大根との出合いは本当に偶然でした。でも、そのすごさを実感してからは、保存や普及の活動が楽しくて、楽しくて。魅力を伝えようと高校で授業を行ったり、地大根料理コンテストを企画したり、自分の思いから始まる研究や活動にはやはり気合も熱も入ります。

〈地域系〉 大野晃ゼミ: 農山村の地域再生

今、日本の山村は、人口、戸数が激減し、高齢化が急速に進展しています。このため、山村では一人暮らしの高齢者が増え、通院や買い物に不便を強いられ、生活していく上で様々な問題をかかえています。

大野ゼミでは、山村に暮らす人々の生活に焦点をあてながら、この問題を考えていきます。人口減少により田畑や里山の手入れができなくなりつつある「限界集落」で、実態調査を行い、その結果を現地で報告します。一連の活動を通じて、地域活性化につながる議論や提言を学生自身に体験させ、地域を考えさせることを目標としています。ゼミでの皆さんの研究が地域に活かされます。

〈地域系〉 久保木匡介: 景観まちづくりと住民参加

長野県内では各地でそれぞれの地域の特色や伝統を生かした景観を保存あるいは創造していく取組みが行われています。小布施町や飯山市、あるいは東御市の海野宿における景観まちづくりの中に、住民の自発的な動きがどのように存在し、それが自治体の政策や事業とどのように結びついているのかを研究しているゼミです。

今年の夏は神奈川県真鶴市でゼミ合宿を行いました。真鶴市では、まちづくり条例の中に地域の暮らしや文化に根ざした「美の基準」を導入しています。同町役場で「美の基準」を住民と共有するための様々な取り組みについてヒアリングを行ったほか、住民団体「うみどり」の方にまちを案内していただき、住民自らが「美の基準」を生かしたまちづくりに取り組んでいる様子も伺ってきました。